【御礼】セミナー『4K8Kはピンチか?チャンスか?~総務省鈴木課長とテッテイ討論!~』のご報告


2/26(金)に、セミナー『4K8Kはピンチか?チャンスか?~総務省鈴木課長とテッテイ討論!~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約60名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、3/18(金)には、セミナー『映像配信ビジネス最前線~次世代の勝者は誰だ?~』を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

3/18(金)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)2/26(金)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。
次世代メディア研究所2016年セミナー
4K8Kはピンチか?チャンスか?~総務省鈴木課長とテッテイ討論!~

<開催日時>  2016年2月26日()午後3時半~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> 総務省情報流通行政局 衛星・地域放送課 鈴木 信也課長
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司

<開催趣旨>

4K8Kの試験放送がいよいよ今年始まる。そもそも13年6月に総務省「放送サービスの高度化に関する検討会」で始まった議論が、「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」の二度の中間報告を受け、4K8K放送は現実に動き始めた。

14年の各種VODサービスの開始に続き、15年にはスカパー・ひかりTV・ケーブルテレビがそれぞれ実用放送を開始している。そして今年中のBSでの4K8K試験放送を経て、18年にはBS・CSによる4K・8K実用放送が予定されている。

以上のようにスケジュールは定まったものの、現実には以下のように、多くの懸念を残して事態は進んでいる。
※BS左旋を活用して始まるNHKの8K実用放送は、本当に放送として普及の可能性があるのか?
※BS右旋で始まる4K実用放送には誰が名乗りを上げるのか?
※BS右旋で多くの4Kチャンネルを確保するための、既存事業者の帯域の一部“幅寄せ”は現実的なのか?
スカパー・ひかりTV・ケーブルテレビで始まった4K実用放送は、経営的にどれだけの意味を持つのか?
※BS右旋で4K実用放送が一定程度始まった場合、ローカル民放にはどんな影響が出るのか?
※BS右旋での4K実用放送がうまく離陸しない場合、IP網の時代がいよいよ到来するのか?
※そもそも放送の高度化は、高機能化も含め、さらにIP網との関係も視野に入れ、地上波テレビネットワーク・BS・CS・CATVなど各種放送の位置づけを見直すタイミングだったのでは?

当セミナーはこうした疑問を議論しつつ、今後あり得る4K8K放送の可能性を含め、映像情報メディアの未来を徹底的に検討する場にしたい。
★参加者の皆さんには事前に質問・疑問などをお出し頂き、鈴木課長にお答え頂けるようにします★

<セミナーの概要>

【Ⅰ.4K8Kの動向についてのプレゼン】(60分)

総務省情報流通行政局 衛星・地域放送課 鈴木信也課長

『4K8Kの今後の展開

一昨年4K試験放送開始、昨年4K実用放送開始に続いて、いよいよ今年からBSで4K・8K試験放送が始まります。さらに、昨年改訂された「4K・8K推進のためのロードマップ」に沿って、2018年のBS及びCSによる4K・8K実用放送開始に向けて今年1月から基幹放送普及計画改正等の実用放送制度整備に着手しました。
今後予定される一連の制度整備の内容などこれらの取組の最新動向について解説するとともに、4K・8Kに関するこれまでの取組をレビューしながら、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年に向けた4K・8Kの今後の展開や4K・8K推進の政策的位置付け及びその意義などについてご説明させていただきます。

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 議論】(90分)

議論は以下の方向を予定!
※10年・20年スパンで見た時、4K8Kの放送や通信はどんなメディアになっているのか?
その時、BS・CS・CATV・地上波テレビの位置づけは、現状とどう変わるのか?変わらないのか?
※4K8Kが容易に実現しない地上波テレビの中で、民放ローカル局にはどんな影響が出るのか?出ないのか?
※経済の活性化も視野に入れた4K8Kだが、実際にどの程度のインパクトを持つのか?持たないのか?
※「4K・8K推進のためのロードマップ」で示された4K対応テレビの普及予測をどう見たら良いのか?
※映像メディアの進化の中で、4K8Kに象徴される高画質化は今度どう展開するのか?
生活者の視聴実態やビジネスモデルの変化に伴い、4K8Kにはどんな未来があり得るのか?

 

<講師プロフィール>

総務省情報流通行政局 衛星・地域放送課 鈴木信也課長
1989年郵政省(当時)入省。放送行政局有線放送課係長、電気通信局事業政策課課長補佐、在香港日本国総領事館領事、総務省国際協力課課長補佐、青森県企画政策部理事、総務省総合通信基盤局電波部基幹通信課長、同局電気通信事業部消費者行政課長を経て、2013年より情報流通行政局衛星・地域放送課長として、4K・8K政策を担当。現職において2014年及び2015年に「4K・8K推進のためのロードマップ」を2度にわたり改訂し、4K・8Kを推進。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

大河『真田丸』の賛否両論を論じてみた!


堺雅人の真田丸

NHK大河ドラマの視聴率は、ここ何年か不調続きだった。ところが三谷幸喜がシナリオを担当する今年の『真田丸』は、初回19.9%・2回目20.1%と久々に20%前後の好スタートを切り、ネット上でも賛辞の声が多く聞こえるようになっていた。

「三谷幸喜ワールド全開!大河ドラマ『真田丸』はなぜこんなに面白いのか いきなり視聴率20%超え」では、「1年間待ったかいがあった!―そう快哉を叫ぶ大河ファンもいるだろう。三谷幸喜の脚本は真田家も視聴者も翻弄し、さながらジェットコースターのよう」と絶賛だ。

「『真田丸』脚本 三谷流と大河流を使い分ける絶妙なバランス」でも、「私がこのドラマ全体に感じたのは、大事件の躍動感、スピード感というより、三谷幸喜脚本の“三谷ドラマファン、歴史ファン、大河ドラマファン、それぞれに配慮したバランス感覚”だった」とシナリオの巧みさを褒めている。

 

ところが3回目の視聴率が18.3%、4回目17.8%と少し下がり始めると、ネガティブな声が喧しくなって来た。

「視聴率下降で早くも暗雲!? NHK大河『真田丸』の勝算は?」では、「三谷氏は04年放送の『新選組!』で、時代考証を無視した脚本で不評を買った前科がある。厳しい歴史ファンも、“三谷ワールド”に期待するファンも、両方を満足させる脚本にできるのか、今後に注目でしょう」と芸能評論家に語らせ、ドラマの今後を不安視している。

「NHK大河ドラマ『真田丸』 まずまずのスタートを切ったが“不安要素”も……」も、近年多くの大河が初期に最高視聴率をとり、その後徐々に数字を下げている事実を捉え、「『真田丸』も近年の大河同様、初回が期待度最高値で、その後、視聴率は落ちていくばかりということにもなりかねない」と、『真田丸』の行く末に暗雲が立ち込めると断ずる。

 

視聴率漸減は当然の時代!?

しかし、ちょっと待って欲しい。視聴率はリアルタイムに放送を見た人しかカウントしない。今の時代、1年間ずっと日曜8時の放送に付き合い続ける人は、高齢者を中心にある層に限られる。そもそも賛否を投げかけている評論家や記者の方々も、過半は録画再生で番組を見ている。番組を制作し放送するテレビ局の職員も、大半が録画再生で済ませている。にも関わらず、リアルタイム視聴の比率のみを評価軸にしている議論は何か変ではないか。スライド1○

過去6年の大河4回放送分の視聴率を比較してみよう。図1の通り、『江~姫たちの戦国~』(11年)と『平清盛』(12年)を除くと、その後の4年は全て4回までで視聴率は下降傾向だ。しかも当初4回が20%を超えた『江』も、11回目には15.7%と4分の1以上の視聴者を失っていた。『平清盛』も、6回目には4分の1の視聴者を失っていた。中には10回目に4割以上の視聴者を失った『八重の桜』の例もある。忙しい現代人は、放送局のために生活しているわけではない。連続ドラマにずっと付き合ってくれると思いこむ方が変であろう。

最終回に向けどんどん視聴率が上昇した『家政婦のミタ』(11年・日本テレビ)や、『半沢直樹』(13年・TBS)は、例外中の例外である。3か月しか続かない民放の1クールドラマですら、大半は半ばから後半にかけ視聴率が下がることの方が多い時代なのである。ましてや、登場人物が多く、時間と空間が複雑に交錯しがちな大河ドラマは、録画してじっくり見たいという人が多くても不思議ではない。

 

自らの見立てを言わない批評記事

否定論でもう1点気に入らないのは、執筆者自信がそのドラマをどう見ているのかを語らないことが多い点だ。視聴率だけで良し悪しを言うのは論外だし、内容に触れてもネット上の声や評論家の意見を紹介してお仕舞というケースが多い。自らを安全圏に置いて、遠くから貶すだけというのは、如何なものかと思ってしまう。

では、今回の『真田丸』はどうだろうか。視聴率こそ最低だった4回目だが、番組論的には間違いなく面白い出来だったと断言できる。筆者はラジオドラマぐらいしか制作した経験がなく、テレビドラマの専門家ではない。ましてや大河は例年ほとんど見ていないし、三谷幸喜のファンでもない。それでも番組は、ドキュメンタリーだろうとドラマだろうと、はたまたバラエティだろうと、面白さには共通点があると考えている。45分の番組なら、最低1か所、できれば2~3か所、唸るような場面が出て来ることだ。

今回の「決断」では、真田信繁(堺雅人)の父・昌幸(草刈正雄)が、織田信長(吉田鋼太郎)に接見する直前に、徳川家康(内野聖陽)と対峙する場面が圧巻だ。昌幸に二心あったのではないかと疑う家康。実際は二君を天秤にかけていたが、最後までとぼける昌幸。最後は互いの目を睨みつけ、本心を探り合う二人。息を飲むシーンは、ドキュメンタリーなら現実を切り取った決定的シーンと言える名場面だろう。

この場面を今回の最大の山場とすると、前後には主人公・信繁が主役となる小山も配置されている。信繁が初めて家康と出会った時のやりとり。実の姉・松(木村佳乃)と夫の密会を探るシーン。安土への人質を、何としてでも松にしようと父を説得するシーン。いずれも心の綾が垣間見える佳作シーンと言えよう。三谷幸喜に詳しい方は、これ意外に番組の随所に出て来る彼の上手いシナリオを褒めるのだろうが、筆者はドラマを“どう書くか”は評論しない。でも“何を書くか”の部分では、明らかに今回の大河には重いパンチが次々に見る側に繰り出されている気がする。

 

満足度が裏付け

以上のようなドラマ素人の筆者の感覚は、実は統計的にちょっと裏付けられる。満足度という尺度だ。視聴率はリアルタイムに番組を見た人の多寡を示すもので、いわば人気を計るバロメーターの1つと言えよう。いっぽう満足度は、実際に番組を見た人の評価で、いわば質の高さを示すと言えよう。そして録画数は、好きな時間にじっくり見たいという、いわば関心と視聴意欲の高さを示す。いずれもデータニュース社「テレビウォッチャー」が毎日3000人のモニターが自発的に見た番組について、両データを計測している。

まず録画数についてだが、視聴率と同様に漸減傾向にある。初期数回で視聴し続けるのを諦めた人々が一定程度いるために起こる変化だろう。ところが満足度の方は、実際に番組を見た人が5段階評価で採点している。テレビ局が依頼して特定番組を視聴してもらうモニター調査とは異なり、視聴を強制していない分、かなり正確な数値が出ていると考えて良かろう。スライド2

データが残っている『軍師官兵衛』(14年)、『花燃ゆ』(15年)の当初4回と比較すると、『真田丸』の高さが群を抜いているのが分かる(図2)。他2本は漸減傾向だが、『真田丸』では初回に戸惑った視聴者が、徐々に高い評価をしはじめていることがわかる。ドラマの場合は3.7程度が平均値となっている。3.9超えは相当高いと言えよう。スライド3

満足度を視聴者全体ではなく、F1・F2・F3と女性を年齢別に分析すると、さらに面白い事実が浮かび上がる。図3の通り、戦国時代の力と知略の物語にも関わらず、F1(女20~34歳)とF3(女50歳以上)の評価が回を追うごとに高まっている。同様に戦国が舞台だった『軍師官兵衛』では、女性の視聴者がついて来られなかった様子が見て取れる。女の子大河とも言うべき『花燃ゆ』に至っては、本来は女性視聴者をターゲットにしたのだろうが、どの層も思惑通りには見てくれていなかったようだ。今回の三谷大河が、如何に幅広い層に届いているかがわかる。

 

以上が序盤4回までの『真田丸』への筆者の評価だ。実際に自分の目で見た感覚が、データで裏付けられる時代になった点が従来と大きく異なる。視聴率の動向だけで拙速に批判せず、まずは自らの目を信じて、そして“見える化”が進む番組評価システムを援用しつつ、良い番組を心行くまで楽しみたいものである。ただし本日の第5回「窮地」で、視聴率や満足度が極端に下がると、ここまで評価してきた筆者の立場がにわかに窮地に追い詰められる。

NHKさんよ、ぜひ頑張ってくださいね。

【御礼】セミナー『10年後のテレビ~3有識者による新春大予言~』のご報告


1/29(金)に、セミナー『10年後のテレビ~3有識者による新春大予言~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約40名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、2/26(金)には、セミナー『4K8Kはピンチか?チャンスか?~総務省鈴木課長とテッテイ討論!~』を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

2/26(金)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)1/29(金)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

1/29(金)開催
次世代メディア研究所2016年セミナー 

10年後のテレビ~3有識者による新春大予言~

<開催日時>  2016年1月29日()午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> 株式会社パナソニック技術担当役員付 安藤 誠 氏
株式会社HAROiD代表取締役 安藤 聖泰 氏
経済産業省国際戦略情報分析官(国際大学GLOCOM客員研究員) 境 真良 氏
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司

 

<開催趣旨>

動画の魅力に加え瞬時に大勢にリーチできたテレビは、20世紀にメディアの王様の地位を占めるに至った。しかし近年、世代により利用するデバイスの多様化が急速に進んでいる。これに伴い、テレビ番組は放送波経由でリアルタイムに視聴されるだけでなく、一旦HDDに貯め込まれた後に見られたり、IP網経由で人々に届くようになっている。しかもこうした映像情報は、ソーシャルメディアと絡められたり、部分的に良いとこ取りされて消費されるようになっている。この結果、最大公約数をターゲットにしてきた地上波テレビ局のビジネスモデルに陰りが見え始めている。これら複数の変数が同時に変化し始めたテレビは、今後10~15年でどう変わって行くのか。
例えば、ケーブルテレビやデータ放送などが歩み出した高機能化の延長上には、どんなテレビの未来が見えるのか。ソーシャルテレビ化やテレビ×スマホなどの動きの先にはどんな姿があるのか。そしてネットでのビジネスモデルやコンテンツ流通のあり方、さらにはネットに吸い寄せられる人々の志向がテレビにどんな影響を与えて行くのか。それぞれの局面に深く関わってきた3有識者のビジョンを伺い、今後のホットイシューを議論する。

<セミナーの概要>

【Ⅰ.10年後のテレビについてのプレゼン】(100分)

 (株)パナソニック技術担当役員付 安藤誠氏

デバイスの進化から見るテレビの未来』

パナソニックは、グローバルに放送のデジタル化が進む中で、1994年の米ディレクTVによる衛星デジタル放送、98年の米英、2003年の日本での地上デジタル放送に備える機器を商品化してきた。その中で、98年には、欧州ではB Sky BやBTと組んでBIB(British Interactive Broadcasting)を立上げ、米国では地上デジタル放送受信パソコン用ボード、日本ではWebTV端末を手掛けるなど、現在のスマートテレビに通ずる先進的な取組みを行ってきた。しかしながら、テレビのデジタル化で、低廉化、薄型化、高画質化、EPG、多チャンネル、VoDと言う価値創造はできたが、携帯電話・スマートフォンが起こした地殻変動に相当する、ユーザ視点での顕著なメリットはこの20年に渡たるテレビのデジタル化では創り得てはいない。この先の15~20年で、テレビと言うエンターティメント・メディア、デバイスが、どのように進化をするか、するべきか、の未来像を機器メーカ視点から考察する。

(株)HAROiD代表取締役 安藤聖泰氏

テレビとネットのもう一つの方向性とは?HAROiDの考える10〜20年後のテレビの予想と将来のテレビがどうあるべきか?』

ここ数年、スマートフォンの普及に伴いテレビ×ネットのトレンドはスマートフォンなどへの動画配信の流れに一気に進もうとしています。一方で、世代によって利用するデバイスの多様化が進んでいるのもまた事実です。スマートフォンやPCをメインにコンテンツに接する方もいれば、テレビしか使わない方も多く、もはや単一デバイスで国民全体をカバーすることは難しいのが実情です。今後、全てがスマートフォンだけに一本化されることは無く、テレビを含む様々なデバイスを想定し、幅広い世代が利用できるIoT社会を前提にした取り組みが必要と言えます。テレビとネットのもう一つの方向性とは何か?HAROiDの考える10〜20年後のテレビの予想と将来のテレビがどうあるべきか?についてお話しさせていただきます。

経済産業省国際戦略情報分析官(国際大学GLOCOM客員研究員)境 真良 氏

『再構築される≪テレビ≫とその役割を占おう

テレビを支えてきた「電波による放送という伝送形式」と「居間にあり皆で見る大画面」と「映像で私たちを楽しませる番組」という三つのボロメオの輪はすでに解離した。しかし、私たちの「テレビ」を巡る視聴習慣が解体される中、「電波」の重要性も、「テレビ」の必要性も、そして「番組」の魅力も、些かも衰えることなく、私たちを縛り付けている。この解体された三つがどのように再び交わるのか(交わらないのか)。ネットでの広告配信メカニズムや視聴誘導の連鎖のあり方、新しく大きな資本力で参入するネット映像配信ビジネスの戦略、さらに政府によるメディアやコンテンツ規制のあり方や通信技術の革新など、国境を越えた大きな動きの中で、国内外の主要プレイヤーがどこを目指すのかという視点と、日本の消費者は何を求めるのかという視点から、CES2016の最新情報を交えつつ、10年後の「テレビ」のイメージを探り出してみたい。

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 議論】(70分)

議論は以下の方向を予定!
※伝送路・端末の多様化が進む中で、相対的に地位が低下する地上波テレビはどう対応し得るのか?
※テレビの高機能化、高画質化には、どんな展開が待っているのか?
※映像情報を巡るビジネスモデルの変化は、テレビにどんな影響をもたらすのか?

 

<講師プロフィール>

(株)パナソニック技術担当役員付 安藤誠氏
1982年4月、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)へ入社、中央研究所・情報グループ配属。
1997年4月、AVCネットワークス社(以降、AVC社) AVC商品開発研究所でホームPCならびに北米ケーブルSTB開発。2002年3月、本社・経営企画グループで、AVC社を含むデジタル分野事業ドメイン会社の事業支援を担当。2006年4月、AVC社企画グループ・グループマネージャーとして、AVC社の事業戦略と企画業務を担当。2011年5月、AVC社STBネットワークビジネスユニット・ビジネスユニット長として、ケーブル/衛星向けSTB・センター機器事業やクラウドサービス事業を担当。そして今年1月、技術担当役員付・企画担当。 

(株)HAROiD代表取締役 安藤聖泰氏
1997年 日本テレビ放送網株式会社入社。地上デジタル放送、ワンセグ放送の立ち上げやインターネット関連サービスの企画を始めとする放送通信連携サービスに携わる。SNSを活用した企画などを複数担当。2010年よりIT情報番組iCon(アイコン)のプロデューサー。2012年3月には本番組を通じてテレビとFacebookを連携させた新しいソーシャルテレビ視聴サービス「JoinTV」を立ち上げる。翌年JoinTVを社会インフラに応用し災害対策・高齢者対策に取り組むJoinTownプロジェクトも同時に推進。2015年5月株式会社HAROiDを立ち上げ、代表取締役に就任。

経済産業省国際戦略情報分析官(国際大学GLOCOM客員研究員)境真良氏
1968年東京都生まれ。93年に通商産業省(当時)入省。2001年から経済産業省メディアコンテンツ課課長補佐、東京国際映画祭事務局長、経済産業省商務情報政策局プラットフォーム政策室補佐、早稲田大学大学院GITS客員准教授、ニコニコ動画等を経て、現職は経済産業省国際戦略情報分析官(情報産業)。専門分野はコンテンツ産業理論、アイドル産業論、海賊版現象研究。『アクトビラ』の起ち上げに関与したり、『テレビ進化論』(講談社、2008年)、『アイドル国富論』(東洋経済新報社、2014年)を著すなど、テレビとの縁が深い。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

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