TVドラマ再考(下) 日テレドラマの初回はなぜ強い?


80年代は“ドラマのTBS”。90年代は“トレンディドラマ”のフジテレビ。しかし今、ドラマの視聴率は日テレが最も安定している。実はその前提に、初回で安定した視聴率を叩き出す日テレならではの仕組みがある。その一端とは・・・・

今クールのドラマ初回では、TBS「下町ロケット」が最高視聴率!

今クールのドラマ初回では、TBS「下町ロケット」が最高視聴率!

連続ドラマは初回が決定的!

「TVドラマ再考(中)」では、2015年夏までの6クールの主なドラマ枠を局別に比較し、平均視聴率が日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビ、TBSの順になっていると述べた。ドラマの視聴率の高低を決めるのは、本の良し悪し、出演者の魅力、演出の力など要因はいろいろあるが、初回ドラマの視聴率もドラマ全体の平均視聴率に大きな影響を与える。ドラマは初回から見る人が大半で、途中から見る人は多くない。つまり初回を見てもらわないと始まらないのである。

事実、2015年夏までの6クールのGP帯ドラマで平均視聴率が初回を上回ったのは、フジ「恋仲」(15年夏)、テレ朝「ドクターX」(14年秋)、フジ「昼顔」(14年夏)、テレ朝「BORDER」(14年春)など10本のみ。いずれも独特の世界を描いた話題作だ。この間のドラマは80本ほどあるので、8割以上のドラマは初回の視聴率が最も高く、2回目以降数字を落として行く傾向にある。

 

日本テレビは初回が強い

図1 主なドラマ枠の初回視聴率 2015年秋までの7クールで見ると、初回視聴率が最も高かったドラマはフジ「HERO」(14年夏)の26.5%だった。2位はテレ朝の「ドクターX」(14年秋)で21.3%。これらのドラマは平均視聴率も「HERO」21.3%、「ドクターX」22.9%と極めて高い数字となった。さらに「HERO」を含むフジ月9枠の7ドラマの初回平均は15.2%、「ドクターX」のテレ朝木9枠は14.7%と、全ドラマ枠の1位2位を占めている(図1)。

ところが局の初回平均となると話が違ってくる。フジの4枠初回平均は11.5%、テレ朝は12.4%で、13.5%の日テレに大きく水を空けられているからだ。しかも同一枠を7クールで比べてみると、日テレ以外はクールによる差が大きい。例えばフジ月9では、「HERO」(14年夏)の26.5%に対して、今年夏クールの「恋仲」は9.8%と半分にも満たなかった。フジの火10枠に至っては、「銭の戦争」(15年冬)14.1%もあったが、「戦う!書店ガール」(15年春)6.2%や「HEAT」(15年夏)6.6%など、初回から極端に低いドラマが複数あった。

TBSも例外ではない。金10枠の「アリスの棘」(14年春)は14.2%と好調なスタートを切っていたが、「表参道高校合唱部!」(15年夏)は初回からいきなり6.6%、火10枠の「女はそれを許さない」(14年秋)も7.0%、「まっしろ」(15年冬)7.9%。今クールでも「結婚式の前の日に」が7.7%と初回から躓くケースが頻発している。テレ朝も木9枠は、「ドクターX」の21.3%があれば、14年春の「BORDER」と15年夏の「エイジハラスメント」はそれぞれ初回が一桁に終わっていた。

以上の3局に対して、日テレのドラマ初回の安定感は他を寄せ付けない。例えば水10枠は特に好調だった「花咲舞が黙ってない」(14年春)の初回17.2%を除くと、他6ドラマは13.6%から14.7%とわずか1.1%の中に全て入っていた。土9枠も唯一9.0%と一桁で始まった「学校のカイダン」(15年冬)を除くと、他6ドラマは12.4%から13.4%と1%の範囲に収まる。さらに今春から新設された日曜10時30分の枠も、第一弾となった「ワイルド・ヒーローズ」こそ9.0%と一桁に留まったが、以後「デスノート」16.9%、「エンジェル・ハート」12.5%と安定している。他3局と比べ、日テレのドラマ初回の強さは群を抜いているのである。

 

強さの前提に宣伝体制あり

 では日テレドラマの初回は何故かくも強いのか。前提には番組宣伝の充実がある。図2は今クールに放送されている9ドラマの、初回放送に向けて行われた番組宣伝の実績を示したものである。ピンクの棒グラフは初回放送前一週間に主人公を演じた役者が出演した番組数を示す。そのうち視聴率の高いGP帯に放送された番組数は赤の棒グラフ。そしてスポットやミニ番組などの本数が緑となる。図2 主なドラマ初回の番宣実績

例えばテレ朝「遺産争族」の主人公向井理は、初回放送直前一週間で9本の番組に出演したが、朝・昼・深夜の番組が中心で、GP帯のバラエティ番組への出演はゼロだった(ミニ番組やスポットは5本)。TBSが力を注ぐ日曜9時「下町ロケット」では、主人公の阿部寛は6本の番組に出演したが、GP帯は1本のみ(ミニ番組やスポットは8本)。フジの看板ドラマ月9「5→9」でも、主人公の石原さとみは8本の番組に出演し、うち4本がGP帯の放送(ミニ番組やスポットは8本)に留まった。

いっぽう日本テレビの番組宣伝は別格だ。例えば水曜10時の「偽装の夫婦」では、主人公の天海祐希は13本の番組に出演し、うち6本がGP帯だった。放送前はほぼ毎日夜のバラエティに登場していた格好だ。しかも日テレの場合、他局のバラエティより視聴率が高い。つまり本数が多く個別番組の視聴率が高いので、GRP換算にすると他局より露出度が桁違いになる。さらにミニ番組やスポットでの露出も11本と、今クールのドラマでは最多となっていた。ちなみに「偽装の夫婦」と“ドラマ・アラフォー対決”と呼ばれたフジ「オトナ女子」の篠原涼子は、出演番組2本、うちGP帯1本、スポットなど2本に留まった。初回視聴率は5%ほどの差がついたが、ドラマの内容以前に視聴者の認知度に大差がついていた可能性がある。

では何故、日テレではドラマのメインキャストがかくもバラエティ番組などに頻繁に出演できるのか。その鍵は同局の人事制度にある。同局では現在放送を統括している小杉善信専務を初め、多くのプロデューサーがバラエティからドラマへの異動を経験している。今クールの土曜9時「掟上今日子の備忘録」がドラマデビュー戦となった松本京子プロデューサーも、「世界の果てまでイッテQ!」などバラエティ番組をこの春まで担当していた。つまりキー局の中で、バラエティとドラマの関係が最も良い局と言えそうで、結果としてドラマの番宣を兼ねたバラエティの制作が普通に行われているのである。

筆者も昨春までテレビ局に身を置き、制作や編成の現場で仕事をしてきた。一般的にテレビ局のプロデューサーやディレクターは、自分の美意識や世界観で番組の全てをコントロールしたくなるものだ。他の番組への協力が大前提というやり方には、拒否感を持つ担当者も少なくない。一国一城の主になりたいのである。そんな現場の風潮にありながら、番組相互が送客し合うような連携・協力を日常的に徹底している日本テレビ。現在、視聴率や広告収入で独壇場となっているが、その強さの秘密がドラマ初回の強さにも表れているようだ。

TVドラマ再考(中) “視聴率×満足度×録画数”で見えること!


「TVドラマ再考(上)」では、一見好調なスタートを切ったように見える秋クールも、実は右肩下がりのトレンドにあることを検証した。今回は視聴率という量的調査のみを使わず、満足度や録画数など質的領域にも踏み込むと何が見えて来るのかに挑んでみたい。

ドラマ視聴率の局別順位

2014年春から15年夏までの6クールの主なドラマ枠を局別に比較すると、平均視聴率は1位が日本テレビで11.83%(水10と土9の2枠:日曜10時30からの枠は15年春からのため除外)。2位はテレビ朝日で10.99%(木8と木9の2枠:水曜9時は2クールものがあるために除外)。3位フジテレビ9.68%(月9・火10・水10・木10の4枠)。4位TBS8.95%(火10・金10・日9の3枠:木9は15年秋から廃止のため除外)。ドラマの局別順位は、総じて編成表全体の順位と同じとなった。

ただし過去6クールでは、平均視聴率が突出して高かったドラマが2本あった。14年秋クールに放送されたテレ朝の「ドクターX」22.9%と、14年夏クールのフジ「HERO」21.3%だ。もし両局から2ドラマを除くと、平均視聴率はテレ朝9.91%、フジ9.17%、TBS8.95%で順位は変わらないものの、3局の差はぐっと縮まる。日テレの独走、残り3局のせめぎ合いという構図になる。

視聴率と録画数の関係

録画されることの多いドラマで比較すると、視聴率とは異なる風景が見える。録画再生視聴率については、ビデオリサーチ社が14年春から関東300世帯を対象に調べているが、残念ながら公表していないので、本稿では「テレビウォッチャー」を提供しているデータニュース社のデータを使用する。関東3000人の地上波テレビの視聴と、全国3000人のBS視聴の実態を調べている。視聴度合・録画状況・番組満足度・自由記述による感想などを毎日収集している調査会社だ。

まず3000人の視聴者のうち、何人がそのドラマを録画したかで見ると、該当期間中に多く録画されたドラマの上位15位は以下の通りとなった(人数の分母は3000人の調査パネル)。

1位:フジテレビ「HERO」・・・・・・・・・・・・・259人

2位:TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」・・・・・・・・214人

3位:日本テレビ「きょうは会社休みます。」・・・・・・ 206人

4位:テレビ朝日「ドクターX」・・・・・・・・・・・・205人

5位:テレビ朝日「アイムホーム」・・・・・・・・・・・205人

6位:フジテレビ「信長協奏曲」・・・・・・・・・・・・193人

7位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・193人

8位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・191人

9位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 184人

10位:日本テレビ「○○妻」・・・・・・・・・・・・・・183人

11位:フジテレビ「ようこそ、わが家へ」・・・・・・・・181人

12位:日本テレビ「Dr.倫太郎」・・・・・・・・・・・ 178人

13位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(15年夏)・・・175人

14位:TBS「アリスの棘」・・・・・・・・・・・・・・174人

15位:フジテレビ「デート~恋とはどんなものかしら~」・166人

如何だろうか。上位はいずれも話題作、問題作が並ぶ。録画数の多いドラマは、名作、傑作、力作など、評価の高いドラマが多いと思われる。「じっくり見たい」「保存しておきたい」など、視聴者の熱い思いを反映していると考えられているからである。

では次に、平均視聴率1%あたりの録画数でランキングしてみよう。一般には視聴率が高いと録画再生が多いと言われるが、1%あたり録画数は単純な録画数とは大きく異なる結果となった。

1位:フジテレビ「リスクの神様」・・・・・・・・・・・25人

2位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・21人

3位:TBS「家族狩り」・・・・・・・・・・・・・・・20人

4位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・19人

5位:TBS「ごめんね青春!」・・・・・・・・・・・・18人

6位:フジテレビ「探偵の探偵」・・・・・・・・・・・・18人

7位:TBS「アルジャーノンに花束を」・・・・・・・・18人

8位:フジテレビ「ファーストクラス」・・・・・・・・・18人

9位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 18人

10位:フジテレビ「SMOKING GUN」・・・・・・ 17人

11位:TBS「まっしろ」・・・・・・・・・・・・・・・17人

12位:フジテレビ「若者たち2014」・・・・・・・・・・ 17人

13位:TBS「マザー・ゲーム~彼女たちの階級~」・・・17人

14位:フジテレビ「残念な夫。」・・・・・・・・・・・・ 16人

15位:フジテレビ「心がポキッとね」・・・・・・・・・・15人

フジ「リスクの神様」が断トツの一位となった。平均視聴率は5.1%と低迷したが、ビジネスマンなど一部の人々には強いニーズがあり続けたドラマだったと言えよう。

ところで視聴率1%あたり録画数の上位には、強烈な特徴がある。まず上位15位中13本が視聴率一桁となっていること。二桁となった2本も、かろうじて10%台と必ずしも好成績ではなかった。次に上位15本はすべてTBSとフジテレビで占められていること。さらに上位はTBSの占める割合が高く、しかもベスト10のうちの4本は金曜10時枠が占めている。TVドラマとして娯楽性を重視するより、意欲作・問題作など挑戦的な作品が多いことが分かる。

テレビ局と録画数の関係

過去6クールのドラマ局別平均視聴率が、1位日本テレビ・2位テレビ朝日・3位フジテレビ・4位TBSとなったことは既に述べた。では視聴率1%あたりの局別平均録画数をみると、1位TBS15.56人・2位フジテレビ14.29人・3位日本テレビ11.13人・4位テレビ朝日10.02人と、視聴率順位とはほぼ逆の関係になった。この順位は、視聴率の割に録画されることの多いドラマを多く作る局の順位と言える(図1参照)。

図1 視聴率と録画数の関係 1位TBS・2位フジと、3位日テレ・4位テレ朝との間には大きな開きがある。まず考えられるのは、テレ朝のドラマは中高年の視聴者が多く、録画再生する習慣の乏しい層が対象となっていると考えられる。例えば1%あたり録画数のワースト3は、1位「刑事110キロ」5.1人・2位「科捜研の女」5.8人・3位「京都人情捜査ファイル」7.4人とすべてテレ朝のドラマだ。ベスト3と比べると、3~4倍の差がある。明らかに年齢層の高い視聴者をターゲットにしているがゆえの結果と言えよう。

局別の平均でTBSやフジに3~4人以上離されて3位の日テレの場合は、必ずしも中高年狙いのドラマではない。水曜10時はF2(女35~49歳)を中心にした女性向けドラマだ。そして土曜9時は、ティーンとその親の随伴視聴を意識したドラマが多い。ではなぜ録画数がTBSやフジほど多くないのか。実は娯楽性重視の姿勢が鍵だ。例えば原作者と銀行という舞台がTBS「半沢直樹」と同じ「花咲舞が黙ってない」(14年春と15年夏クール放送)は、それぞれ1%あたり録画数が10.2人と12.1人と決して高くない。制作時にシリアスな部分を抑え、滑稽なシーンを増やす演出で、敢えて気楽に見られる番組にすることで録画再生に回されないように努めていたという。「花咲舞が黙ってない」は、いずれもクール内1位をとっているように、視聴率重視の作戦はピタリと当っていたと言えよう。

視聴率・録画数・満足度の関係

では次に、番組を視聴した人の満足度を見てみよう。「テレビウォッチャー」では、自発的に番組を視聴した人の満足度を5段階評価で投票してもらっている。該当期間中に満足度の平均値が高かったドラマの上位15番組は以下の通り。( )内は平均視聴率。【 】内は録画総数。< >内は視聴率1%あたり録画数。

1位:TBS「天皇の料理番」・・・・・・・・・・・・・4.15(14.5%)【157人】<10.8人>

2位:日本テレビ「きょうは会社休みます。」・・・・・・ 4.07(16.0%)【206人】<12.9人>

3位:テレビ朝日「ドクターX」・・・・・・・・・・・・4.06(22.9%)【205人】< 9.0人>

4位:フジテレビ「銭の戦争」・・・・・・・・・・・・・4.03(13.4%)【171人】<12.8人>

5位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・4.02( 9.0%)【191人】<21.2人>

6位:フジテレビ「続・最後から二番目の恋」・・・・・・4.00(12.9%)【163人】<12.6人>

7位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(15年夏)・・・ 4.00(14.5%)【175人】<10.2人>

8位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(14年春)・・・ 3.98(16.0%)【164人】<12.1人>

9位:TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」・・・・・・・・3.96(14.5%)【214人】<14.8人>

10位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 3.92(10.4%)【184人】<17.7人>

11位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・3.91(10.3%)【193人】<18.7人>

12位:フジテレビ「信長協奏曲」・・・・・・・・・・・・3.89(12.5%)【193人】<15.5人>

13位:フジテレビ「HERO」・・・・・・・・・・・・・3.89(21.3%)【259人】<12.1人>

14位:フジテレビ「素敵な選TAXI」・・・・・・・・・3.89(10.3%)【134人】<13.0人>

15位:TBS「アリスの棘」・・・・・・・・・・・・・・3.88(11.1%)【174人】<15.7人>

以上のデータから、こんな傾向を導き出してみた。まず視聴率・満足度・録画数のいずれも高いドラマは、視聴者層の間口が広く、個々の視聴者の心にしっかり届いていたホームランだった可能性が高い。テレ朝「ドクターX」を筆頭に、フジ「HERO」、日テレ「きょうは会社休みます。」「花咲舞が黙ってない」、TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」等が該当する。

次に視聴率・満足度・録画数のいずれも一定程度高かったドラマは二塁打。満足度がブッチギリでトップだったTBS「天皇の料理番」を初め、フジ「銭の戦争」「続・最後から二番目の恋」「信長協奏曲」あたりがこの範疇に相当する。

図2 視聴率と満足度の関係

図2 視聴率と満足度の関係

最後に視聴率は高くなかったが、満足度が高く録画数が多いドラマもあった。シングルヒットと位置付けたい作品だが、「アリスの棘」「流星ワゴン」「流星ワゴン」「Nのために」と実はすべてTBSのドラマ。視聴率の高い番組が録画再生も多いというのが一般論だったが、TBSのドラマについては明らかにこれが当てはまらない。しかも4本中3本は金曜10時枠という特徴がある。

「満足度が高い=番組への評価が高い」に加え、「録画再生が多い=確実にじっくり見たい」ということだろうが、残念ながら視聴率が高くないということは視聴者層の間口が広くないということだろう。狭く深く刺さるドラマとも言える。かつて“ドラマのTBS”と言われたほど、同局のドラマには伝統がある。しかし良いドラマを制作しながら「視聴率につながっていない=マネタイズできていない」とすれば、これは編成や経営にも責任の一端がありそうだ。当シリーズ最終回となる次号では、この辺りの問題を深掘りしてみたい。

 

【御礼】セミナー『広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~』のご報告


11/4(水)に、セミナー『広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約80名の方にご参加いただくことができました。
議論パートではスポンサー企業の方をはじめ多くの方にご意見を発表いただき、有意義な時間となったのではないかと思います。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、12/4(金)には、セミナートータルリーチ~テレビの価値はどう上がるのか?~を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

12/4(金)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)11/4(水)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

 

11/4(水)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー 

広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~

<開催日時>  2015年11月4日()午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> ㈱インテージ MCA事業本部 企画営業1部2グループ
グループマネージャー/コンサルタント 高橋智嗣 氏
ヤフー㈱ マーケティングソリューションカンパニー ビデオ広告営業責任者
㈱GYAO取締役 兼 営業本部長 半田英智 氏
< 討 論 者 > 大手広告主から、宣伝部やデジタル室のトップ数名が参加
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司


<開催趣旨>

世界的に既存メディアへの広告出稿は低迷し、インターネット広告が急伸している。中でも動画広告の勢いが目覚ましい。米国では各メディアの広告効果測定、効果的なCM制作、クロスメディアでの最適出稿法などの研究が進んでいる。その中では、テレビとネットをどう位置づけるかが話題の中心になっている。テレビ局側からは、話題提供力の大きさからテレビの新たな可能性が提示されている。ネット側からは、動画映像の可能性がホットイシューとなっている。

こうした最前線の話題を紹介し、日本で多くのCM出稿をしている大手スポンサーの担当者を交え、世界の先端事例が日本にどう波及していくのか。その結果、テレビなど既存メディアにはどんな影響があるのか等を議論する。研究レベルに留まらず、実務者の現実的な判断を基に、メディアの今後を展望する。

<セミナーの概要>

【Ⅰ.広告市場最前線についてのプレゼン】(80分)

 (株)インテージ MCA事業本部 高橋智嗣氏

『ARFからみる米国メディア事情 ~各TVメディアの、広告効果測定の為のアプローチ~』

Advertising Research Foundation、通称ARFとは、広告調査に関連する企業、大学が参加するNPOであり、400以上の広告主、広告代理店、メディア、調査会社が参加する、世界で最も権威ある広告関連組織(協会)の一つ。インテージはARFの主要カンファレンスに参加し、グローバルな広告、メディア、マーケティング、リサーチのトレンド及び、それらを取り巻く環境を把握、様々な企業や団体と意見交換をしている。
今回は、このARFカンファレンスで取り上げられたテーマの中から、コミュニケーションの環境変化と企業の対応、クロスプラットフォームの現状と広告効果測定、氾濫するデータの統合的活用等に対し、主にTV・動画メディアの最先端の事例も交え、得られた知見を紹介する。
主なトピックは、「コミュニケーション環境変化と対応」「クロスプラットフォーム、広告効果計測」「クリエイティブ/コンテンツのリサーチ事例」「データの統合的活用」「各媒体、代理店の動き」。世界規模の大きな変化の中で、今広告を取り巻く環境で何が起きているか、広告効果とは何か、それをどう測定し認識するか、を紹介する。

ヤフー(株) マーケティングソリューションカンパニー/(株)GYAO 半田英智氏

『急伸する動画広告~欧米の実態と日本の展望~』

欧米の動画広告の飛躍的発展と成長に対して日本においても2014年のビデオ広告元年という言葉と共に大きな成長が始まってきている。その背景は、欧米諸国でビデオ広告出稿が進む理由や、広告主が求める効果等と同じなのか。それとも日本独自の活用方法や効果が見出されてきているのか。まずはネット側から見た欧米諸国の最前線を紹介し、現在のYahoo! JAPAN、GYAO!のビデオ広告の利活用状況を踏まえながら、日本で何が起ころうとしているのかを解説する。

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 大手スポンサーを交えた議論】(90分)

 

<講師プロフィール>

(株)インテージ MCA事業本部 高橋智嗣氏
外資系FMCGメーカー、コンサルティングファーム、外資系TVメディアでのブランドマーケティングマネージャー&ディストリビューションマネージャーとして、広告主と媒体社、両方の業界で一貫してマーケティングやブランディングのキャリアを積んだ後、2014年に株式会社インテージに入社。現在は主にメディア業界に対し、リサーチ、データベースを活用したマーケティング戦略支援を統括する。消費者行動の文脈からのメディア研究が趣味。筑波大学大学院ビジネス科学研究科 経営システム科学専攻修了(MBA)。

ヤフー(株) マーケティングソリューションカンパニー/(株)GYAO 半田英智氏
2000年株式会社USEN入社。2001年より光ファイバーブロードバンド事業に従事し、全国各地の統括支店長を歴任した後の2006年に動画配信事業のGyaO事業本部へ異動。2009年、株式会社USEN のGyaO事業がヤフー株式会社への売却に伴い、ヤフーグループにおける新生GyaO!にて引き続き動画広告事業に携わり、2012年に株式会社GyaO(現 株式会社GYAO)取締役に就任(~現任)。2014年よりヤフー株式会社としての本格的ビデオ広告事業立ち上げに伴いヤフー株式会社マーケティングソリューションカンパニーにてビデオ広告営業責任者を兼務。約10年に渡り動画広告事業に従事している。 

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

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