【御礼】セミナー『トータルリーチ~テレビの価値はどう上がるのか?~』のご報告


12/4(金)に、セミナー『トータルリーチ~テレビの価値はどう上がるのか?~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約70名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、1/29(金)には、セミナー『10年後のテレビ~3有識者による新春大予言~』を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

1/29(金)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)12/4(金)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

12/4(金)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー 

トータルリーチ~テレビの価値はどう上がるのか?~

<開催日時>  2015年12月4日()午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> 日本テレビ編成局総合コンテンツ部長(兼)マーケティング部長  古野千秋氏
NHK編成局編成センター マーケティング世論グループ専任部長  白石信子氏
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司


<開催趣旨>

地上波テレビの媒体価値は、従来より相対的に低下している。リアルタイムによる視聴率は低し、生活者の録画再生やインターネット接触が増えている。結果としてテレビ・スマートフォン・タブレット・パソコンなど、様々なデバイスが使われるようになり、インフラも放送波の他に、IPネットワーク経由での情報伝達が当たり前になってきている。
こうした状況にあり、20世紀にメディアの王様だったテレビは、新たな展開を求められているそこで当セミナーでは、クロスメディア展開を最も積極的に行っている日本テレビとNHKの担当者にご登壇頂き、どんな対応を、どんな狙いで、どう行っているのか。その成果はどう把握しようとしているか等をお聞きし、新たな取組の中でテレビ事業者がどう生き残ろうとしているのか、テレビの今後の進化の先を模索する。

<セミナーの概要>

【Ⅰ.トータルリーチについてのプレゼン】(80分)

 (株)日本テレビ 古野千秋部長

『日本テレビのクロスメディア戦略』

時代の趨勢によりテレビの危機がネットニュースで唱われる中、日本テレビは総合編成戦略を立て様々な試みをしている。民放局の中では最も早い時期にキャッチアップ配信に取り組み、テレビとネットの両面からコンテンツを届け、今や在京キー局は共同で配信事業を始めるまでになっている。今年からは編成局内に総合コンテンツ部を新設し、地上波テレビの二次利用だけでなく、様々な展開を見込んだコンテンツありきの戦略を実現している。【地上波、Hulu連動企画ドラマ】や【地上波、映画、イベント連動プロジェクト】など幾つかの実例とともに、得ることのできた知見を将来のビジネスとしてどのように展開できるのか、待ち受ける課題とともにお話いたします。

NHK 白石信子専任部長

『NHKのトータルリーチ』

NHKの経営企画(2015-2017年度)では、「NHKコンテンツへの多様な接触を把握する新たな評価手法“ト―タルリーチ”を開発し、サービス向上に活用」とうたっています。前経営計画でスタートした、「公共放送としての役割を達成するため、NHK独自の評価・管理方法を確立」するにあたり導入した、番組の質的量的評価の対象を、メディア環境や視聴者の現状をかんがみて、リアル放送から録画再生視聴やインターネットサービスを含めたさまざまな形でのNHKへの接触を総合的に把握する、と広げています。それに伴い、NHKでもインターネットサービスを含めた「総合編成」を意識するようになり、急速に新たな視聴者サービスに向けた議論がスタートしています。まだ緒についたばかりですが、地上波テレビ・BS・ネット配信などクロスメディア展開での事例とともにお話できればと思います。

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 議論】(90分)

議論は以下の方向を予定!
※伝送路・端末の多様化が進む中で、相対的に地位が低下する地上波テレビの位置づけをどう考えるか?
※地上波テレビの媒体価値後退を、クロスメディア展開はどう補うのか?
※クロスメディア展開の中でのマネタイズはどう可能か?持続可能な組織はどう構築できるのか?

 

<講師プロフィール>

古野千秋 日本テレビ編成局総合コンテンツ部長(兼)マーケティング部長
1984年日本テレビ入社。制作局にてタモリさんの音楽バラエティ「今夜は最高!」ADからスタートし、「速報!歌の大辞テン!」演出、「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」演出・CP、「一億人の大質問!笑ってコラえて」CPなど音楽、バラエティを制作。
2000年のショパンコンクール特番「ショパン二つの愛の物語」(演出・P)でギャラクシー奨励賞受賞。2010年から事業局イベント事業担当部長、13年には日本テレビ開局60年舞台「真田十勇士」(中村勘九郎、松坂桃李、演出:堤幸彦)を制作。14年より編成局マーケティング部長、15年より新設された総合コンテンツ部長を兼務。

白石信子 NHK編成局編成センター マーケティング世論グループ専任部長
1981年NHK入局。秘書室を経て放送文化研究所世論調査部、編成局編成部世論グループ、放送文化研究所世論調査部主任研究員、同計画総務部副部長。2007年より再び編成局編成センターに所属、11年より現職。番組の視聴感想や満足度などの質的側面をはかる調査の開発・充実に携わる。近年はインターネットサービスを含めた質的量的評価を把握するためのデータ収集、解析も担当。一貫して放送関係の調査業務に従事。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

 

TVドラマ再考(下) 日テレドラマの初回はなぜ強い?


80年代は“ドラマのTBS”。90年代は“トレンディドラマ”のフジテレビ。しかし今、ドラマの視聴率は日テレが最も安定している。実はその前提に、初回で安定した視聴率を叩き出す日テレならではの仕組みがある。その一端とは・・・・

今クールのドラマ初回では、TBS「下町ロケット」が最高視聴率!

今クールのドラマ初回では、TBS「下町ロケット」が最高視聴率!

連続ドラマは初回が決定的!

「TVドラマ再考(中)」では、2015年夏までの6クールの主なドラマ枠を局別に比較し、平均視聴率が日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビ、TBSの順になっていると述べた。ドラマの視聴率の高低を決めるのは、本の良し悪し、出演者の魅力、演出の力など要因はいろいろあるが、初回ドラマの視聴率もドラマ全体の平均視聴率に大きな影響を与える。ドラマは初回から見る人が大半で、途中から見る人は多くない。つまり初回を見てもらわないと始まらないのである。

事実、2015年夏までの6クールのGP帯ドラマで平均視聴率が初回を上回ったのは、フジ「恋仲」(15年夏)、テレ朝「ドクターX」(14年秋)、フジ「昼顔」(14年夏)、テレ朝「BORDER」(14年春)など10本のみ。いずれも独特の世界を描いた話題作だ。この間のドラマは80本ほどあるので、8割以上のドラマは初回の視聴率が最も高く、2回目以降数字を落として行く傾向にある。

 

日本テレビは初回が強い

図1 主なドラマ枠の初回視聴率 2015年秋までの7クールで見ると、初回視聴率が最も高かったドラマはフジ「HERO」(14年夏)の26.5%だった。2位はテレ朝の「ドクターX」(14年秋)で21.3%。これらのドラマは平均視聴率も「HERO」21.3%、「ドクターX」22.9%と極めて高い数字となった。さらに「HERO」を含むフジ月9枠の7ドラマの初回平均は15.2%、「ドクターX」のテレ朝木9枠は14.7%と、全ドラマ枠の1位2位を占めている(図1)。

ところが局の初回平均となると話が違ってくる。フジの4枠初回平均は11.5%、テレ朝は12.4%で、13.5%の日テレに大きく水を空けられているからだ。しかも同一枠を7クールで比べてみると、日テレ以外はクールによる差が大きい。例えばフジ月9では、「HERO」(14年夏)の26.5%に対して、今年夏クールの「恋仲」は9.8%と半分にも満たなかった。フジの火10枠に至っては、「銭の戦争」(15年冬)14.1%もあったが、「戦う!書店ガール」(15年春)6.2%や「HEAT」(15年夏)6.6%など、初回から極端に低いドラマが複数あった。

TBSも例外ではない。金10枠の「アリスの棘」(14年春)は14.2%と好調なスタートを切っていたが、「表参道高校合唱部!」(15年夏)は初回からいきなり6.6%、火10枠の「女はそれを許さない」(14年秋)も7.0%、「まっしろ」(15年冬)7.9%。今クールでも「結婚式の前の日に」が7.7%と初回から躓くケースが頻発している。テレ朝も木9枠は、「ドクターX」の21.3%があれば、14年春の「BORDER」と15年夏の「エイジハラスメント」はそれぞれ初回が一桁に終わっていた。

以上の3局に対して、日テレのドラマ初回の安定感は他を寄せ付けない。例えば水10枠は特に好調だった「花咲舞が黙ってない」(14年春)の初回17.2%を除くと、他6ドラマは13.6%から14.7%とわずか1.1%の中に全て入っていた。土9枠も唯一9.0%と一桁で始まった「学校のカイダン」(15年冬)を除くと、他6ドラマは12.4%から13.4%と1%の範囲に収まる。さらに今春から新設された日曜10時30分の枠も、第一弾となった「ワイルド・ヒーローズ」こそ9.0%と一桁に留まったが、以後「デスノート」16.9%、「エンジェル・ハート」12.5%と安定している。他3局と比べ、日テレのドラマ初回の強さは群を抜いているのである。

 

強さの前提に宣伝体制あり

 では日テレドラマの初回は何故かくも強いのか。前提には番組宣伝の充実がある。図2は今クールに放送されている9ドラマの、初回放送に向けて行われた番組宣伝の実績を示したものである。ピンクの棒グラフは初回放送前一週間に主人公を演じた役者が出演した番組数を示す。そのうち視聴率の高いGP帯に放送された番組数は赤の棒グラフ。そしてスポットやミニ番組などの本数が緑となる。図2 主なドラマ初回の番宣実績

例えばテレ朝「遺産争族」の主人公向井理は、初回放送直前一週間で9本の番組に出演したが、朝・昼・深夜の番組が中心で、GP帯のバラエティ番組への出演はゼロだった(ミニ番組やスポットは5本)。TBSが力を注ぐ日曜9時「下町ロケット」では、主人公の阿部寛は6本の番組に出演したが、GP帯は1本のみ(ミニ番組やスポットは8本)。フジの看板ドラマ月9「5→9」でも、主人公の石原さとみは8本の番組に出演し、うち4本がGP帯の放送(ミニ番組やスポットは8本)に留まった。

いっぽう日本テレビの番組宣伝は別格だ。例えば水曜10時の「偽装の夫婦」では、主人公の天海祐希は13本の番組に出演し、うち6本がGP帯だった。放送前はほぼ毎日夜のバラエティに登場していた格好だ。しかも日テレの場合、他局のバラエティより視聴率が高い。つまり本数が多く個別番組の視聴率が高いので、GRP換算にすると他局より露出度が桁違いになる。さらにミニ番組やスポットでの露出も11本と、今クールのドラマでは最多となっていた。ちなみに「偽装の夫婦」と“ドラマ・アラフォー対決”と呼ばれたフジ「オトナ女子」の篠原涼子は、出演番組2本、うちGP帯1本、スポットなど2本に留まった。初回視聴率は5%ほどの差がついたが、ドラマの内容以前に視聴者の認知度に大差がついていた可能性がある。

では何故、日テレではドラマのメインキャストがかくもバラエティ番組などに頻繁に出演できるのか。その鍵は同局の人事制度にある。同局では現在放送を統括している小杉善信専務を初め、多くのプロデューサーがバラエティからドラマへの異動を経験している。今クールの土曜9時「掟上今日子の備忘録」がドラマデビュー戦となった松本京子プロデューサーも、「世界の果てまでイッテQ!」などバラエティ番組をこの春まで担当していた。つまりキー局の中で、バラエティとドラマの関係が最も良い局と言えそうで、結果としてドラマの番宣を兼ねたバラエティの制作が普通に行われているのである。

筆者も昨春までテレビ局に身を置き、制作や編成の現場で仕事をしてきた。一般的にテレビ局のプロデューサーやディレクターは、自分の美意識や世界観で番組の全てをコントロールしたくなるものだ。他の番組への協力が大前提というやり方には、拒否感を持つ担当者も少なくない。一国一城の主になりたいのである。そんな現場の風潮にありながら、番組相互が送客し合うような連携・協力を日常的に徹底している日本テレビ。現在、視聴率や広告収入で独壇場となっているが、その強さの秘密がドラマ初回の強さにも表れているようだ。

TVドラマ再考(中) “視聴率×満足度×録画数”で見えること!


「TVドラマ再考(上)」では、一見好調なスタートを切ったように見える秋クールも、実は右肩下がりのトレンドにあることを検証した。今回は視聴率という量的調査のみを使わず、満足度や録画数など質的領域にも踏み込むと何が見えて来るのかに挑んでみたい。

ドラマ視聴率の局別順位

2014年春から15年夏までの6クールの主なドラマ枠を局別に比較すると、平均視聴率は1位が日本テレビで11.83%(水10と土9の2枠:日曜10時30からの枠は15年春からのため除外)。2位はテレビ朝日で10.99%(木8と木9の2枠:水曜9時は2クールものがあるために除外)。3位フジテレビ9.68%(月9・火10・水10・木10の4枠)。4位TBS8.95%(火10・金10・日9の3枠:木9は15年秋から廃止のため除外)。ドラマの局別順位は、総じて編成表全体の順位と同じとなった。

ただし過去6クールでは、平均視聴率が突出して高かったドラマが2本あった。14年秋クールに放送されたテレ朝の「ドクターX」22.9%と、14年夏クールのフジ「HERO」21.3%だ。もし両局から2ドラマを除くと、平均視聴率はテレ朝9.91%、フジ9.17%、TBS8.95%で順位は変わらないものの、3局の差はぐっと縮まる。日テレの独走、残り3局のせめぎ合いという構図になる。

視聴率と録画数の関係

録画されることの多いドラマで比較すると、視聴率とは異なる風景が見える。録画再生視聴率については、ビデオリサーチ社が14年春から関東300世帯を対象に調べているが、残念ながら公表していないので、本稿では「テレビウォッチャー」を提供しているデータニュース社のデータを使用する。関東3000人の地上波テレビの視聴と、全国3000人のBS視聴の実態を調べている。視聴度合・録画状況・番組満足度・自由記述による感想などを毎日収集している調査会社だ。

まず3000人の視聴者のうち、何人がそのドラマを録画したかで見ると、該当期間中に多く録画されたドラマの上位15位は以下の通りとなった(人数の分母は3000人の調査パネル)。

1位:フジテレビ「HERO」・・・・・・・・・・・・・259人

2位:TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」・・・・・・・・214人

3位:日本テレビ「きょうは会社休みます。」・・・・・・ 206人

4位:テレビ朝日「ドクターX」・・・・・・・・・・・・205人

5位:テレビ朝日「アイムホーム」・・・・・・・・・・・205人

6位:フジテレビ「信長協奏曲」・・・・・・・・・・・・193人

7位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・193人

8位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・191人

9位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 184人

10位:日本テレビ「○○妻」・・・・・・・・・・・・・・183人

11位:フジテレビ「ようこそ、わが家へ」・・・・・・・・181人

12位:日本テレビ「Dr.倫太郎」・・・・・・・・・・・ 178人

13位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(15年夏)・・・175人

14位:TBS「アリスの棘」・・・・・・・・・・・・・・174人

15位:フジテレビ「デート~恋とはどんなものかしら~」・166人

如何だろうか。上位はいずれも話題作、問題作が並ぶ。録画数の多いドラマは、名作、傑作、力作など、評価の高いドラマが多いと思われる。「じっくり見たい」「保存しておきたい」など、視聴者の熱い思いを反映していると考えられているからである。

では次に、平均視聴率1%あたりの録画数でランキングしてみよう。一般には視聴率が高いと録画再生が多いと言われるが、1%あたり録画数は単純な録画数とは大きく異なる結果となった。

1位:フジテレビ「リスクの神様」・・・・・・・・・・・25人

2位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・21人

3位:TBS「家族狩り」・・・・・・・・・・・・・・・20人

4位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・19人

5位:TBS「ごめんね青春!」・・・・・・・・・・・・18人

6位:フジテレビ「探偵の探偵」・・・・・・・・・・・・18人

7位:TBS「アルジャーノンに花束を」・・・・・・・・18人

8位:フジテレビ「ファーストクラス」・・・・・・・・・18人

9位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 18人

10位:フジテレビ「SMOKING GUN」・・・・・・ 17人

11位:TBS「まっしろ」・・・・・・・・・・・・・・・17人

12位:フジテレビ「若者たち2014」・・・・・・・・・・ 17人

13位:TBS「マザー・ゲーム~彼女たちの階級~」・・・17人

14位:フジテレビ「残念な夫。」・・・・・・・・・・・・ 16人

15位:フジテレビ「心がポキッとね」・・・・・・・・・・15人

フジ「リスクの神様」が断トツの一位となった。平均視聴率は5.1%と低迷したが、ビジネスマンなど一部の人々には強いニーズがあり続けたドラマだったと言えよう。

ところで視聴率1%あたり録画数の上位には、強烈な特徴がある。まず上位15位中13本が視聴率一桁となっていること。二桁となった2本も、かろうじて10%台と必ずしも好成績ではなかった。次に上位15本はすべてTBSとフジテレビで占められていること。さらに上位はTBSの占める割合が高く、しかもベスト10のうちの4本は金曜10時枠が占めている。TVドラマとして娯楽性を重視するより、意欲作・問題作など挑戦的な作品が多いことが分かる。

テレビ局と録画数の関係

過去6クールのドラマ局別平均視聴率が、1位日本テレビ・2位テレビ朝日・3位フジテレビ・4位TBSとなったことは既に述べた。では視聴率1%あたりの局別平均録画数をみると、1位TBS15.56人・2位フジテレビ14.29人・3位日本テレビ11.13人・4位テレビ朝日10.02人と、視聴率順位とはほぼ逆の関係になった。この順位は、視聴率の割に録画されることの多いドラマを多く作る局の順位と言える(図1参照)。

図1 視聴率と録画数の関係 1位TBS・2位フジと、3位日テレ・4位テレ朝との間には大きな開きがある。まず考えられるのは、テレ朝のドラマは中高年の視聴者が多く、録画再生する習慣の乏しい層が対象となっていると考えられる。例えば1%あたり録画数のワースト3は、1位「刑事110キロ」5.1人・2位「科捜研の女」5.8人・3位「京都人情捜査ファイル」7.4人とすべてテレ朝のドラマだ。ベスト3と比べると、3~4倍の差がある。明らかに年齢層の高い視聴者をターゲットにしているがゆえの結果と言えよう。

局別の平均でTBSやフジに3~4人以上離されて3位の日テレの場合は、必ずしも中高年狙いのドラマではない。水曜10時はF2(女35~49歳)を中心にした女性向けドラマだ。そして土曜9時は、ティーンとその親の随伴視聴を意識したドラマが多い。ではなぜ録画数がTBSやフジほど多くないのか。実は娯楽性重視の姿勢が鍵だ。例えば原作者と銀行という舞台がTBS「半沢直樹」と同じ「花咲舞が黙ってない」(14年春と15年夏クール放送)は、それぞれ1%あたり録画数が10.2人と12.1人と決して高くない。制作時にシリアスな部分を抑え、滑稽なシーンを増やす演出で、敢えて気楽に見られる番組にすることで録画再生に回されないように努めていたという。「花咲舞が黙ってない」は、いずれもクール内1位をとっているように、視聴率重視の作戦はピタリと当っていたと言えよう。

視聴率・録画数・満足度の関係

では次に、番組を視聴した人の満足度を見てみよう。「テレビウォッチャー」では、自発的に番組を視聴した人の満足度を5段階評価で投票してもらっている。該当期間中に満足度の平均値が高かったドラマの上位15番組は以下の通り。( )内は平均視聴率。【 】内は録画総数。< >内は視聴率1%あたり録画数。

1位:TBS「天皇の料理番」・・・・・・・・・・・・・4.15(14.5%)【157人】<10.8人>

2位:日本テレビ「きょうは会社休みます。」・・・・・・ 4.07(16.0%)【206人】<12.9人>

3位:テレビ朝日「ドクターX」・・・・・・・・・・・・4.06(22.9%)【205人】< 9.0人>

4位:フジテレビ「銭の戦争」・・・・・・・・・・・・・4.03(13.4%)【171人】<12.8人>

5位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・4.02( 9.0%)【191人】<21.2人>

6位:フジテレビ「続・最後から二番目の恋」・・・・・・4.00(12.9%)【163人】<12.6人>

7位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(15年夏)・・・ 4.00(14.5%)【175人】<10.2人>

8位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(14年春)・・・ 3.98(16.0%)【164人】<12.1人>

9位:TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」・・・・・・・・3.96(14.5%)【214人】<14.8人>

10位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 3.92(10.4%)【184人】<17.7人>

11位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・3.91(10.3%)【193人】<18.7人>

12位:フジテレビ「信長協奏曲」・・・・・・・・・・・・3.89(12.5%)【193人】<15.5人>

13位:フジテレビ「HERO」・・・・・・・・・・・・・3.89(21.3%)【259人】<12.1人>

14位:フジテレビ「素敵な選TAXI」・・・・・・・・・3.89(10.3%)【134人】<13.0人>

15位:TBS「アリスの棘」・・・・・・・・・・・・・・3.88(11.1%)【174人】<15.7人>

以上のデータから、こんな傾向を導き出してみた。まず視聴率・満足度・録画数のいずれも高いドラマは、視聴者層の間口が広く、個々の視聴者の心にしっかり届いていたホームランだった可能性が高い。テレ朝「ドクターX」を筆頭に、フジ「HERO」、日テレ「きょうは会社休みます。」「花咲舞が黙ってない」、TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」等が該当する。

次に視聴率・満足度・録画数のいずれも一定程度高かったドラマは二塁打。満足度がブッチギリでトップだったTBS「天皇の料理番」を初め、フジ「銭の戦争」「続・最後から二番目の恋」「信長協奏曲」あたりがこの範疇に相当する。

図2 視聴率と満足度の関係

図2 視聴率と満足度の関係

最後に視聴率は高くなかったが、満足度が高く録画数が多いドラマもあった。シングルヒットと位置付けたい作品だが、「アリスの棘」「流星ワゴン」「流星ワゴン」「Nのために」と実はすべてTBSのドラマ。視聴率の高い番組が録画再生も多いというのが一般論だったが、TBSのドラマについては明らかにこれが当てはまらない。しかも4本中3本は金曜10時枠という特徴がある。

「満足度が高い=番組への評価が高い」に加え、「録画再生が多い=確実にじっくり見たい」ということだろうが、残念ながら視聴率が高くないということは視聴者層の間口が広くないということだろう。狭く深く刺さるドラマとも言える。かつて“ドラマのTBS”と言われたほど、同局のドラマには伝統がある。しかし良いドラマを制作しながら「視聴率につながっていない=マネタイズできていない」とすれば、これは編成や経営にも責任の一端がありそうだ。当シリーズ最終回となる次号では、この辺りの問題を深掘りしてみたい。

 

【御礼】セミナー『広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~』のご報告


11/4(水)に、セミナー『広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約80名の方にご参加いただくことができました。
議論パートではスポンサー企業の方をはじめ多くの方にご意見を発表いただき、有意義な時間となったのではないかと思います。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、12/4(金)には、セミナートータルリーチ~テレビの価値はどう上がるのか?~を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

12/4(金)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)11/4(水)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

 

11/4(水)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー 

広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~

<開催日時>  2015年11月4日()午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> ㈱インテージ MCA事業本部 企画営業1部2グループ
グループマネージャー/コンサルタント 高橋智嗣 氏
ヤフー㈱ マーケティングソリューションカンパニー ビデオ広告営業責任者
㈱GYAO取締役 兼 営業本部長 半田英智 氏
< 討 論 者 > 大手広告主から、宣伝部やデジタル室のトップ数名が参加
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司


<開催趣旨>

世界的に既存メディアへの広告出稿は低迷し、インターネット広告が急伸している。中でも動画広告の勢いが目覚ましい。米国では各メディアの広告効果測定、効果的なCM制作、クロスメディアでの最適出稿法などの研究が進んでいる。その中では、テレビとネットをどう位置づけるかが話題の中心になっている。テレビ局側からは、話題提供力の大きさからテレビの新たな可能性が提示されている。ネット側からは、動画映像の可能性がホットイシューとなっている。

こうした最前線の話題を紹介し、日本で多くのCM出稿をしている大手スポンサーの担当者を交え、世界の先端事例が日本にどう波及していくのか。その結果、テレビなど既存メディアにはどんな影響があるのか等を議論する。研究レベルに留まらず、実務者の現実的な判断を基に、メディアの今後を展望する。

<セミナーの概要>

【Ⅰ.広告市場最前線についてのプレゼン】(80分)

 (株)インテージ MCA事業本部 高橋智嗣氏

『ARFからみる米国メディア事情 ~各TVメディアの、広告効果測定の為のアプローチ~』

Advertising Research Foundation、通称ARFとは、広告調査に関連する企業、大学が参加するNPOであり、400以上の広告主、広告代理店、メディア、調査会社が参加する、世界で最も権威ある広告関連組織(協会)の一つ。インテージはARFの主要カンファレンスに参加し、グローバルな広告、メディア、マーケティング、リサーチのトレンド及び、それらを取り巻く環境を把握、様々な企業や団体と意見交換をしている。
今回は、このARFカンファレンスで取り上げられたテーマの中から、コミュニケーションの環境変化と企業の対応、クロスプラットフォームの現状と広告効果測定、氾濫するデータの統合的活用等に対し、主にTV・動画メディアの最先端の事例も交え、得られた知見を紹介する。
主なトピックは、「コミュニケーション環境変化と対応」「クロスプラットフォーム、広告効果計測」「クリエイティブ/コンテンツのリサーチ事例」「データの統合的活用」「各媒体、代理店の動き」。世界規模の大きな変化の中で、今広告を取り巻く環境で何が起きているか、広告効果とは何か、それをどう測定し認識するか、を紹介する。

ヤフー(株) マーケティングソリューションカンパニー/(株)GYAO 半田英智氏

『急伸する動画広告~欧米の実態と日本の展望~』

欧米の動画広告の飛躍的発展と成長に対して日本においても2014年のビデオ広告元年という言葉と共に大きな成長が始まってきている。その背景は、欧米諸国でビデオ広告出稿が進む理由や、広告主が求める効果等と同じなのか。それとも日本独自の活用方法や効果が見出されてきているのか。まずはネット側から見た欧米諸国の最前線を紹介し、現在のYahoo! JAPAN、GYAO!のビデオ広告の利活用状況を踏まえながら、日本で何が起ころうとしているのかを解説する。

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 大手スポンサーを交えた議論】(90分)

 

<講師プロフィール>

(株)インテージ MCA事業本部 高橋智嗣氏
外資系FMCGメーカー、コンサルティングファーム、外資系TVメディアでのブランドマーケティングマネージャー&ディストリビューションマネージャーとして、広告主と媒体社、両方の業界で一貫してマーケティングやブランディングのキャリアを積んだ後、2014年に株式会社インテージに入社。現在は主にメディア業界に対し、リサーチ、データベースを活用したマーケティング戦略支援を統括する。消費者行動の文脈からのメディア研究が趣味。筑波大学大学院ビジネス科学研究科 経営システム科学専攻修了(MBA)。

ヤフー(株) マーケティングソリューションカンパニー/(株)GYAO 半田英智氏
2000年株式会社USEN入社。2001年より光ファイバーブロードバンド事業に従事し、全国各地の統括支店長を歴任した後の2006年に動画配信事業のGyaO事業本部へ異動。2009年、株式会社USEN のGyaO事業がヤフー株式会社への売却に伴い、ヤフーグループにおける新生GyaO!にて引き続き動画広告事業に携わり、2012年に株式会社GyaO(現 株式会社GYAO)取締役に就任(~現任)。2014年よりヤフー株式会社としての本格的ビデオ広告事業立ち上げに伴いヤフー株式会社マーケティングソリューションカンパニーにてビデオ広告営業責任者を兼務。約10年に渡り動画広告事業に従事している。 

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

TVドラマ再考(上) “秋クールは好調”というけれど・・・


GP帯で放送されている民放ドラマ14本中12本が視聴率二桁スタートとなった秋クール。好調の評判が高いが、俯瞰してみると手放しでは喜べない現実が見える。右肩下がりのトレンドを正しく認識し、事態を改善するための次の一手を冷静に考えるべきだろう。

多彩なドラマが並んだ秋クール

多彩なドラマが並んだ秋クール

スタートは好調!?

2015年秋ドラマが先週ですべて出そろった。各ドラマの初回視聴率では、『相棒season14』が18.4%でトップ。2位『下町ロケット』が16.1%と肉薄していた。しかも2回目は『下町~』が17.8%と率を上げ、『相棒14』を0.2㌽逆転するデッドヒートを展開している。1話につき1億円前後を投じているとの噂もある『下町~』については、TBSテレビ武田社長も定例記者会見で「文字通りロケットスタート」「半沢を超えて欲しい」と喜びと期待を隠さない。

GP帯で放送している他の民放ドラマも、全14本中12本の視聴率が二桁を取り、活字メディアの中では「秋ドラマまずまずのスタート!」「10月期ドラマ好発進」「粒ぞろい 見応えあり」などの記事が目立った。大方の見方は、「スタート好調」となっている。

別視点で印象は変わる!スライド1

しかしこんな見方も出来る。図1のように、他の時期と比較できるドラマ枠に限って初回視聴率を比べると、確かに秋ドラマは夏ドラマと比べ1枠が下がったものの7枠は上り、絶好調に見える。しかし今年の春ドラマと比べると、1枠下がり3枠上がっただけで、大躍進というほど好調ではない。人は直近の印象でものを見がちだ。“好調”という評価も、夏ドラマが不調だったがゆえの可能性がある。スライド2

事実、過去5年の秋ドラマの初回視聴率を並べると、全く異なる風景が見えてくる。5年間で上下激しく動いた枠もあるが、11年秋と比べると、15年秋は1枠上がっただけで、2枠が横ばい、7枠が下がっている。しかも横ばいのうちの1枠、13年秋や14年秋と比べると大きく下がっている。つまり秋ドラマの初回としては、今期ドラマは好調どころか、下降傾向の中にあるという見方も出来るのである。

地上波テレビはジリ貧

そもそも地上波テレビ視聴率は、HUT(総視聴率)も各チャンネルの視聴率も近年下降傾向にある。HUTは90年代には70%あった。しかし過去15年で約1割を失い、14年度は63%しかなかった。さらにNHKと民放キー5局の主なチャンネルの合計視聴率は、もっと厳しい状況にある。“その他視聴率”と呼ばれるBS・CS・CATVなどの数字が上がってきたためで、68%ほどあったものが今や55~56%に落ちてしまっている。15年間で15%ほどパイを失った格好である。スライド3

原因は録画再生視聴が増え、リアルタイムに番組を見る人が減っているからだ。さらにインターネットの普及、特にスマホの利用者が増え、テレビ視聴時間は確実にスマホに侵食されている。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が毎年実施している「メディア定点調査」によれば、2010年との比較では2015年、国民一人あたりのテレビ接触時間は20分減った。いっぽうスマホやタブレットの接触時間は合計で76分も増えている。パソコンも含むインターネット端末全体の接触時間では、既にテレビより多くなっているのである。

録画再生視聴の影響については、NHK放送文化研究所が5年に1度実施している「日本人とテレビ」にも実態がよく表れている。1985年に始まった同調査の2015年版が7回目だ。テレビの録画再生やDVD再生を含まない放送のリアルタイム視聴(平日)は、前回までの過去6回ですべて増加していたが、直近5年で初めて減少に転じたのである。最大の原因はデジタル録画機(DVR)の利用拡大にある。DVRの世帯普及率は既に8割ほどに達しているが、日常的に利用する人も5年前より7㌽増え56%に達していたのである。しかも10代後半から50代までで、男女とも7割前後を占めるまでに至っている。

タイムシフト時代のドラマ

録画再生が最も頻繁に行われる番組ジャンルはドラマだ。最新の情報を求めるニュース、暇つぶしや慰安を求めて見られるバラエティと異なり、物語をじっくり味わいたいドラマは、家族に邪魔されず落ち着いて集中できる時間に見たいから、録画再生されることが多い。

スライド4 こうした事情もあり、ドラマの視聴率は過去20年ほど大きく下がっている。例えばトレンディドラマ全盛だった1997年、GP帯で放送されるドラマのうち、視聴率が15%を超えるものは年間で32本もあった。ところが2002年は13本減り19本、2007年12本、2012年7本、そして今年は冬~夏までの3クールで15%越えは皆無となっている。秋クール序盤を見る限り、15%越えが今年は1~2本に留まる可能性が高い。

 

 

如何だろうか。確実にTVドラマの視聴率は右肩下がりのトレンドにある。ゆえに前クールとの比較で一喜一憂しても、大きな流れを変えることにはつながらない。では、どうしたら良いのか。そもそも視聴率とは、CM取引のための一つの指標に過ぎない。この指標だけで、論理・情緒・価値観などが入り組む人間の物語を評価するには無理がある。ましてや指標に合せてドラマの作り方を変えてしまう姿勢は、必ずしも幸福な営みとは言えない。やはり、この状況で出来る努力を追求するしかないだろう。では具体的な方策を、シリーズ次回に考察して見たい。

【御礼】セミナー『マスコミ不祥事はなぜ続く~リスク回避のABC~ 』のご報告


9/7(月)に、セミナー『マスコミ不祥事はなぜ続く~リスク回避のABC~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約30名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、11/4(水)には、セミナー『米国広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~』を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。
(詳細は近日中にUPさせて頂きます)

11/4(水)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)9/7(月)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

9/7(月)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー 

マスコミ不祥事はなぜ続く~リスク回避のABC~

<開催日時>  2015年9月7日(月)午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> ACEコンサルティング(株) エグゼクティブ・アドバイザー 白井邦芳氏
(現在放送中のフジテレビ『リスクの神様』危機対策監修を担当)増田パートナーズ法律事務所 弁護士(日本およびニューヨーク州) 増田英次氏
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司


<開催趣旨>

過去30年を振り返えると、様々な不祥事がマスコミで起こっています。主なものは以下の通りです。

85年のテレビ朝日 『アフタヌーンショー』やらせリンチ事件
89年TBS『オウム真理教ビデオ』問題
91年NHK『ムスタンやらせ』問題
03年日テレ『視聴率不正操作事件』
07年関テレ『発掘!あるある大事典』データねつ造問題
11年東海テレビ『ぴーかんテレビ』セシウムさん騒動
13年フジテレビ『ほこたて』やらせ問題
14年朝日新聞『従軍慰安婦誤報問題』『「吉田調書」誤報事件』
15年テレビ朝日『「報道ステーション」古賀茂明氏降板問題』
NHK『「クローズアップ現代」やらせ問題』

危機管理の観点から、メディアで起きる不祥事の特徴と、その対応で留意すべき点などを、専門家お二人に過去の象徴的なケースなど交えご解説頂きます。そして今後マスコミが留意すべき点を確認すると共に、メディア企業のあり方を見直すきっかけにしたいと存じます。

時代はますます複雑化し、変化のスピードも速くなっています。メディア企業で働く管理職および日々難しい取材・制作に携わる現場の方々必見のセミナーです。


<セミナーの概要>

【Ⅰ.専門家2人によるプレゼン】(90分)

 ACEコンサルティング(株) エグゼクティブ・アドバイザー 白井邦芳氏

知らないうちに蔓延する視聴率や営業成績への社内圧力、番組制作会社への過度な要求などが原因で発生する「やらせ問題」や結論ありきの「誤報問題」など。ソーシャルメディア等の新たな媒体が急激に発展しつつある中、競合他社との熾烈な売上競争が顕在化しているメディア業界では、メディア本来の社会的公器としての役割や姿勢について問われる不祥事が相次ぎ、深刻な状況になりつつある。予防の視点でのリスクマネジメント活動と、それでも潜在化していたリスクによって惹起される企業を揺るがす危機が発生した場合の初動及びその後の適切な危機管理活動について、専門家の立場から提言したい。特にメディア業界という特殊性に鑑み、どのような点に留意すべきかなどについても触れていく。

増田パートナーズ法律事務所 弁護士(日本およびニューヨーク州) 増田英次氏

マスコミ関係者はもちろん、ビジネスパーソンで、今日、コンプライアンスという言葉を知らない人はいません。しかし、著名企業での不祥事は一向に減る気配がありませんし、マスコミでの不祥事も頻繁に生じています。なぜ、これほどまでにコンプライアンスの重要性が叫ばれているにも拘わらず、不祥事は減らないのか?コンプライアンスに対する現状の取り組みには、どこかに大きな落とし穴や盲点があるのではないでしょうか?
このような視点から、当セミナーでは「どうしたらコンプライアンスが本当に自分たちのものになるか」について、法律以外の心理学・行動倫理学・コーチングの知識技術等を駆使しながら、その現状とその対策を考えていきたいと思っています。キーワードは「ルールよりもマインドを変える」と、個々人のマインドとルールのあり方を切り離さない「エモーショナルコンプライアンス」の二つです。この新しい見方、考え方を通じて、マスコミ関係者の方に多くの気づきやヒントを提供できれば幸いです。

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 過去の具体例を振り返りつつ議論】(80分)

講師への質問・反論などに続き、参加者から選択してもらった過去の不祥事例などをベースに簡単なケーススタディ&議論へと深めて行きます。具体的に課題と感じているテーマがありましたら、どんどんお寄せください。具体的なコンサルを事実上受けることが出来ます。

 

<講師プロフィール>

ACEコンサルティング(株) エグゼクティブ・アドバイザー 白井邦芳氏
危機管理コンサルタント、早稲田大学教育学部卒業。AIU保険会社に入社後、数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員賠償、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理支援に多数関わる。AIG Risk Consulting首席コンサルタント、AIG Corporate Solutions常務執行役員を経て、現在、ACE Consulting Executive Advisor。日本リスクマネジメント協会顧問、経営戦略研究所外部専門委員、日本法科学技術学会正会員、日本内部監査協会講師、日本クレジット協会講師。産業再生機構及びその投資先企業のリスク管理を担当するなど、手がけた事例は 2,400 件以上に上る。その分野は、危機管理、リスクマネジメント、コンプライアンス、内部統制などの専門家として広い範囲で活躍の場を広げている。フジテレビ「リスクの神様」の危機対策監修を担当。主な著書は「企業の危機管理コンサルティング」(中央経済)、「リスクマネジメントの教科書」(東洋経済)など。

増田パートナーズ法律事務所 弁護士(日本およびニューヨーク州) 増田英次氏
弁護士、ニューヨーク州弁護士。中央大学法学部卒業後、西村総合法律事務所(現・西村あさひ法律事務所)、米国イェール大学ロースクール客員研究員、メリルリンチ日本証券株式会社法務部長兼執行役員、コロンビア大学ロースクール修士課程(LL.M.)などを経て、増田パートナーズ法律事務所を設立。複数の上場企業等の役員を務めるほか、コンプライアンスの第一人者として講演なども多数こなす。Best Lawyers in Japanに数年続けて選出されているほか、IFLR1000、Legal 500(Asia Pacific)等世界的な弁護士評価機関からも高い評価を受けている。
主な著書『「正しいこと」をする技術――コンプライアンス思考で、最短ルートで成功する』(ダイヤモンド社)、『もうやめよう! その法令遵守』(フォレスト出版)、『人生を変える正しい努力の法則』(かんき出版) 

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

【御礼】セミナー『スマホにむかう若年層~テレビに次の一手はあるか?~ 』のご報告


8/5(水)に、セミナー『スマホに向かう若年層~テレビに次の一手はあるか?~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約50名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、9/7(月)には、セミナー『マスコミ不祥事はなぜ続く~リスク回避のABC』を開催致します。
現在参加受付を承っておりますので、ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

9/7(月)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)8/5(水)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

8/5(水)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー 

スマホにむかう若年層~テレビに次の一手はあるか?~

<開催日時>  2015年8月5日(水)午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 グループマネジャー 兼 上席研究員 加藤薫氏
電通/電通総研 研究主席 兼 メディアイノベーション研究部長 奥律哉氏
社会学者/ネットイヤークラフト リサーチャー 濱野智史氏
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司

<受講料>
法人会員契約をされた企業は、契約人数まで無料。
※本セミナーを含め、セミナーが年10回開催されます。
※法人会員契約の詳細については、こちらをご覧ください。

それ以外の方(一般参加の方)は、1名につき2万円。(税別)


<開催趣旨>

今年度第一四半期、関東600世帯のHUTは例年になく減少している。要因としてはいろいろ考えられるが、ここ1年ほどで顕在化しているものとして、若年層を中心とする生活者がスマートデバイス利用に多くの時間を費やしている点が考えられる。
実際に彼ら彼女らのスマデバ利用はどんな実態となっているのか。大手広告代理店の調査では、次々とアプリを渡り歩くような忙しない情報消費や、テレビのような長尺コンテンツに背を向ける実態が浮かび上がっている。こうした逆風を克服する手はあるのか?若年層の実態とニーズを直視すれば、まだまだやれることは残っているという。
我が国での映像情報消費実態に最も精通する電通と博報堂の精鋭に分析・提言して頂くとともに、若年層世代に属し、その情報消費の実態を知り尽くす若手社会学者に加わってもらい、テレビの次の一手を考える。


<セミナーの概要>

【Ⅰ.スマホ利用の実態】(90分)
 - 休憩 -(15分)
【Ⅱ.Q&A / 議論】(75分)


博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 グループマネジャー 兼 上席研究員 加藤薫氏
「生活者のメディア行動と今後の変化の方向性」

スマートフォンの本格普及により、生活者のメディア行動と意識は、大きく変化しています。メディア環境研究所では、2006年より毎年、生活者のメディア接触動向について調べた「メディア定点調査」を実施しています。
昨年のデータでは、1日あたりのメディア接触の時間がテレビ156.9分、携帯・スマホ74.0分、パソコン69.1分の順となっており、携帯・スマホの接触時間が、パソコンの接触時間を上回ったことが大きなニュースとなりました。
モバイルの接触時間を押し上げている生活者行動とは何でしょうか?そして、それらと放送の関係はどうなっていくのでしょうか?
最新の生活者取材映像も合わせて分析し、定量・定性の両面から、生活者の現在のメディア行動と意識、今後の変化の大きな方向性までを皆さんと共有していきたいと考えています。

 

電通/電通総研  研究主席 兼 メディアイノベーション研究部長 奥律哉氏
「スマホユーザーの現実とテレビの進むべき方向」

電通総研オリジナル調査をもとに、彼らのメディア接触行動の独自性を分析しつつ、そこから見えてくるテレビの進むべき方向について、ディスカッションを行う。

①各種調査データから
・スマホ起動ログ分析
・動画視聴調査
・ながら視聴分析

②テレビの進むべき方向
・コンタクトポイント
・コンテンツとコミュニケーション
・遍在するオーディエンス

 

社会学者/ネットイヤークラフト リサーチャー 濱野智史氏
「若者世代のながら視聴・アプリ利用・テレビ離れの実態とは」

2010年代から急速に普及したスマートフォン。濱野氏は社会学者の視点から、若者世代の「ながら視聴」やアプリ利用の実態について、日頃から定性調査(日誌調査・参与観察等)を行ってきた。今回はその内容を元に、若者世代のながら視聴・アプリ利用・テレビ離れの実態と、いまの若者世代にとっての「情報メディア環境」がどのように認識・構成されているのかについて俯瞰的に整理したい。

 

<講師プロフィール>

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 グループマネジャー 兼 上席研究員 加藤薫氏
1999年、博報堂入社。菓子メーカー・ゲームメーカーの 担当営業を経て、2008年より当研究所にて放送のデジタル化を中心に研究をスタート。現在は、メディア/コンテンツの双方の視点で、生活者動向とメディアビジネスのこれからについて研究している。主なレポートや講演:「コンテンツファン消費行動調査(2011~)」、「今、生活者が求める“Media Experience”とは?(2013)」、「ASEANメディアコンテンツ調査(2014~)」、「Media Extension‐ひろがる生活、ひろがるメディア‐(2014)」など。

電通/電通総研 研究主席 兼 メディアイノベーション研究部長 奥律哉氏
1959年生まれ。1982年大阪大学経済学部卒業、同年電通入社。テレビスポットセールス関連業務を経てプランニングシステム開発・メディアプランナー育成などに従事。2000年メディア・マーケティング局マーケティング部長。2002年メディア・コンテンツ計画局開発部長。2007年メディア・マーケティング局メディアイノベーション研究部長。その後コミュニケーション・デザイン・センター、電通総研、MCプランニング局次長を経て2010年10月から現職。主に情報通信関連分野について、ビジネス・オーディエンス・テクノロジー視点から研究開発を行う。
著書「ネオ・デジタルネイティブの誕生~日本独自の進化を遂げるネット世代~」2010年3月 (共著:ダイヤモンド社)「情報メディア白書2015」2015年2月(共著:ダイヤモンド社) 

社会学者/ネットイヤークラフト リサーチャー 濱野智史氏
1980年生。批評家・社会学者。専門は情報社会論・メディア論。恵泉女学園大学・東京経済大学非常勤講師。主著に『アーキテクチャの生態系』(NTT出版)『前田敦子はキリストを超えた』(ちくま新書)。2014年からはアイドルグループ「PIP」総合プロデューサーも務める。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

【御礼】セミナー『テレビの価値はこう上げる!~3調査会社の㊙作戦~』のご報告


7/1(水)に、セミナー『テレビの価値はこう上げる!~3調査会社の㊙作戦~』を開催させていただきました。
お陰様をもちまして、約60名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、8/5(水)には、セミナー『スマホにむかう若年層~テレビに次の一手はあるか?~』を開催いたします。
現在参加受付を承っておりますので、ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

8/5(水)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)7/1(水)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

 

7/1(水)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー
テレビの価値はこう上げる!~3調査会社の㊙作戦~

<開催日時>  2015年7月1日(水)午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> データニュース株式会社 研究員 大石庸平
株式会社エム・データ 取締役 薄井 司
株式会社インテージ データサイエンス部 チーフ データサイエンティスト 篠原正裕
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司

<受講料>
法人会員契約をされた企業は、契約人数まで無料。
※本セミナーを含め、セミナーが年10回開催されます。
※法人会員契約の詳細については、こちらをご覧ください。

それ以外の方(一般参加の方)は、1名につき2万円。(税別)
<開催趣旨>

地上波テレビの視聴率合計は、この15年で15%ほど下がった。キー5局を個別に見ると、日テレこそ安定しているものの、2004年度と2014年度のゴールデンタイムを比較すると、テレ朝が1㌽、テレ東1.2㌽、TBS3.4㌽、フジに至っては3.9㌽も落としている。広告収入にも課題を抱えている。やはり2004年度と2014年度を比較すると、テレ朝のみほぼ同額だが、テレ東で70億円ほど、日テレ300億円ほど、TBS500億円ほど、フジに至っては660億円ほど減らしている。

テレビ局が最も重視するのは視聴率であり、それに基づく広告収入が柱となっている。その両者が共に痛んでいる中、調査会社3社はそれらの改善に向けた新たな手法を開発している。そこで今回のセミナーでは、各社がどんな方法を開発し、どの程度可能性があるのかを、各社のプレゼンと会場からの質疑応答で考えてみたい。
<セミナーの概要>

【Ⅰ.調査3会社のプレゼン】(約2時間)

データニュース社  大石庸平 研究員
今、なぜ定性調査か?~「テレビウォッチャー」の可能性と成功事例~

地上波・BSのテレビ視聴データを毎日6000人のアンケートモニターから収集している「テレビウォッチャー」。接触数(番組を観た人数)・どの程度見たのか(全部・1/2以上・1/2~1/3・1/3未満など)・録画数・視聴満足度(満足度を5段階評価)・番組への感想(自由記述)を毎日、全テレビ番組から取得している。

中でも「満足度」と「感想」は、現在日本にある番組調査の中では「テレビウォッチャー」にしかない。視聴数・視聴の度合いだけではなく、番組の「視聴質」を知ることが可能となっている。

視聴満足度のデータは、同一ジャンルの過去データとの比較や、その推移を分析することで、多くの番組改善に活用できる。例えば視聴率予想を行なったり、視聴度合い・満足度・感想等から番組の熱心度や視聴スタイルを読み解けるのである。

また、地上波・無料BS放送以外にも有料放送局では、加入継続意向に寄与する番組、もしくは退会させてしまう放送の要因は何かという分析になる。さらに加入者層が自局以外には、地上波でどんな番組をよく見ているのかを知ることで、新規加入増のヒントも提供できる。

視聴データの他に、未既婚・職業・年収等の情報も取得しているため、番組スポンサーへの営業の支援にも使えるようになっている。

エム・データ 薄井 司 取締役
放送と通信を結ぶ『テレビメタデータ』が開拓する新たな可能性と、
ビッグデータ解析によるクロスチャネルマーケティング

1.エム・データ社が生成するTVメタデータの活用実績や効果を各業界やサービス毎に紹介
(1)TVメタデータ概要:①TVメタデータとは? ②生成フロー ③データ種別と特徴
(2)活用事例、実績:①テレビの露出調査 ②テレビの露出効果分析(ネットデータ等との相関分析) ③デバイス連携(スマートTV等) ④ショッピングサイトの販売促進 ⑤小売店でのオムニチャネル施策 ⑥グルメサイト、トラベルサイトの予約促進 ⑦地図情報、ナビゲーションサービスの利便性向上

2.各テレビ局様との連携事例やマルチスクリーンによる施策、これから加速することが予測される動画配信サービスとの連携構想等も中心に案内。
(1)事例紹介:①wiz tv ②ぶぶたす ③ハミテレ ④Hybrid Cast 等
(2)構想:※当日のご説明

3.デバイスメーカーとのスマートTVモデルやエコシステム、放送実績や視聴履歴等のライフログとソーシャルメディアやPOSデータ等、各種データをDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)に統合し、ビッグデータ解析によるマーケティング分析やネット連動施策、クロスチャネル マーケティングによる広告主への付加価値提供構想等も紹介。
(1)構想:①クロスメディア分析スキーム(TVメタデータ×ネットデータ×消費活動データ)  ②DMPでのデータ統合とエクスチェンジスキーム ③TV視聴のオーディエンスデータ解析
(2)事例紹介:①スマートTV(デバイス)連携 ②広告主企業、流通・小売企業のTVメタデータ活用とデータ解析 ③テレビ局との研究事例(視聴率予測、ネクストブレーカー、番宣の最適化、視聴インサイト、キャッチアップのレコメンド等)
※上記アジェンダと当日の紹介内容、順番は、変更あるいは時間の関係で割愛する場合もございます。

インテージ 篠原正裕 チーフ データサイエンティスト
マルチデバイス時代のテレビ視聴~放送局が成功する“i-SSP活用法”~

インテージでは、TV・ PC・スマートフォンのメディア接触と、商品の実購買のログを同一パネルで継続的に捉え、加えてアンケートによって生活者の態度変容の関係を明らかにできる「インテージ シングルソースパネル(i-SSP)」を運用している。
同パネルを駆使すると、例えばリアルタイムとタイムシフトの関係、ネットでの情報消費とテレビ視聴の関係に対する分析が可能になり、また、放送局のWeb展開の諸課題に対し、解を見出す契機となる示唆を得られる。
今回は、テレビ局が直面する諸課題に対して、新しいアプローチを用いて1つの解決策を提案する。

【ソリューションの具体例】
1)同一視聴者による番宣への接触、初回放送視聴、録画再生やネット見逃し視聴、翌週放送への回帰などの関係を分析し、ベストなウィンドウ・コントロール法などを提供。

2)番組視聴層の属性に加え、意識・価値観や、実購買ログなどから多面的に評価。番組の広告枠価値を明らかにし、放送上のCM営業とネット上での番宣動画用CM営業に新たな武器を提供。発表では具体的に商品購入者と非購入者を分析し、各メディアで何をすべきかの考察をご紹介。

3)番組視聴の量的データに加え、意識・価値観等の質的データにより、精緻なプロファイリングを実施。視聴者毎の番組選択特性等から、視聴率向上のための番組改善や新番組開発等に対して従来にないヒントを提供。 

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【 Ⅱ.Q&A/議論】(約1時間)

 

<講師プロフィール>

データニュー株式会社 大石庸平 研究員
東京工芸大学芸術学部映像学科ドラマ研究室卒業。テレビの情報収集が趣味で、データニュースの『テレビウォッチャー』サービスもその情報収集の中で発見し、入社。今に至る。主に、テレビドラマが好きで、視聴することはもちろん、ドラマ本編は視聴していなくても、各クールで放送されるドラマの脚本・演出・音楽等のスタッフ、視聴率データは把握している。現在J:comで放送中の「J:テレスタイル」にレギュラー出演中(毎週水曜日の生放送)、テレビウォッチャーデータを活用した番組PRをしている。またデータを用いた番組紹介記事や、レポート作成など、テレビ活性化の為、日々勤しんでいる。

株式会社エム・データ 薄井 司 取締役
株式会社第一興商マネージャー、株式会社VLe社長室長を経て、2009年に株式会社エム・データに入社。テレビの放送実績をテキスト化した「TVメタデータ」を基点とした各種サービスの企画・開発やエム・データの戦略企画業務に従事。また、企業との戦略提携やアライアンス施策展開の他、テレビ局とのサービス開発や各局別のデータカスタマイズ、デバイスメーカーとのスマートTV事業、ビッグデータ解析やテレビ基点の各種予測、テレビ連動のデジタルマーケティング施策等、テレビ情報を活用したクロスチャネルマーケティングやマーケティングミックスモデルの構築・展開を手掛ける。

株式会社インテージ データサイエンス部 データ解析グループ マネージャー 篠原正裕 チーフ データサイエンティスト
1980年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻卒業。研究テーマは心理統計学、マーケティングサイエンス。2005年、株式会社インテージに入社。消費財メーカーの顧客担当を経て、消費者パネル調査の研究・開発・データ解析に従事してきた。現在は、MCA事業本部データサイエンス部チーフデータサイエンティストとして、購買履歴とテレビとWeb(PC、Mobile)のメディア接触履歴を同一のパネルから収集するシングルソースデータ「i-SSP」のデータ解析を担当している。愛する妻子と三人暮らし。趣味は楽器演奏。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

“モニカとテッド”2つの教訓~再チャレンジ社会アメリカの実力~


TEDで「恥辱の代償」をプレゼンするモニカ・ルインスキー

TEDで「恥辱の代償」をプレゼンするモニカ・ルインスキー

先月下旬に放送されたNHKEテレの「スーパープレゼンテーション」。登場したのはモニカ・ルインスキー(Monica Lewinsky)。ホワイトハウスの実習生だった彼女は、ビル・クリントン(William Jefferson “Bill” Clinton)元大統領との不倫スキャンダルが1998年に発覚し、弱冠22歳にして世界中のマスコミの標的となった。

番組は米国で開催されるTEDカンファレンスを日本語字幕付きで紹介するもの。TEDとは、Technology Entertainment Designの頭文字。多様な分野の有名人による講演が毎週紹介されている。

 

2015年の“モニカとテッド”

当稿の主人公モニカ・ルインスキーは、国のトップとの“不適切な関係”が報じられた以降、就職もできず米国を離れたこともある。そして久しぶりのメディア登場の場としてTEDを選んだ。当時の心境と自ら経験した“ネットいじめ”の危うさを語ったプレゼンのタイトルは、「The price of shame 恥辱の代償」だった。

まず序盤はジョーク交じり。例えば10年ぶりに公の場に立ったのは20代むけの講演会だったが、1500人の聴衆の年齢は98年当時4歳から14歳。「私のこと ラップで知った人いるかも(彼女はかつて40曲ほどのラップの歌詞のネタになっていた)」の発言には、聴衆から失笑がこぼれた。その講演会の日、27歳男性が41歳の彼女を口説いて曰く、「もう一度22歳の気分にしてあげるよ」。嬉しかったが、モニカは断ったという。「40代で22歳に戻りたくない人は、私ぐらいでしょう」。これで大爆笑、会場の雰囲気は一気に和らいだ。

しかしそこからの発言はきわめて重かった。スキャンダルの前まで、ニュースの手段は3つしかなかった。活字メディアを読む・ラジオを聴く・テレビを見る。しかし98年には既にインターネットが普及し、人々は欲しい情報をいつでも・どこでも入手できる時代になっていた。これがモニカにとって致命傷だった。

“恥辱”は98年1月にネットから始まる。「情報源としてネットが従来のマスコミを超えた最初のケース」だ。「世界中でクリック音が鳴った」「まったく無名の一般人だった私が、一夜にして全世界の晒し者になった」と彼女は振り返る。「世界規模で信用をなくした“ネット晒し”の被害者第1号」だったというのである。

両親は彼女が自殺するのではと細心の注意を払って、いつも彼女に寄り添った。シャワーを浴びる際にも、ドアを開けっ放しにさせたそうだ。長く世間の目から逃れる必要があった。英国留学がしばらく続いた。

ところがモニカは帰ってきた。ターニングポイントはSNSが既に普及した2010年。18歳の大学生が寮で盗撮され、その映像がネットに晒されたことを苦に自殺した事件が契機だった。彼女は自らの“恥辱”経験について、確度を変えて見直すようになった。その結果、“ネットいじめ”について見えてきたことがあった。

もちろんネットには、多くの利点がある。「家族の再会、人命の救助、革命が起こったりもした」「一方で“ネットいじめ”が爆発的に増えた」「特に傷つきやすい若い子たちが被害にあっている」「生きていくことがつらくなって、自殺する人もいる」「恥辱というのは喜びや怒りより強烈な感情」とネットの負の側面を告発する。

 

そして圧巻は、恥辱の文化という分析だ。「ネットでの辱めは広がって行くし、永遠に残る」「何百万もの人が匿名で罵詈雑言の浴びせる」。かくしてネットに限らず現実世界でも恥辱が助長されるようになった。「ゴシップサイトやパパラッチ、政治・マスコミまでが恥を取り扱う」「抵抗を感じなくなってきたから、荒らし、プライバシー侵害、ネットいじめが起こる」「こうして“恥辱の文化”ができてしまった」。

しかも「恥辱に値段がついている」「他人のプライバシーを、まるで資源みたいに採掘して、売って、利益を得る」「激しい恥辱ほどクリックされ、広告収入アップ」「恥が産業化してしまった」。ネットの増幅機能が、負の拡大再生産をして止まらない危険を訴えたのである。

公の場に出るようになって、モニカが最も受けた質問は「なぜ、今になって話すのか?」だった。まっすぐ前を向いて彼女は答える。「時が来た」「自分の過去と向き合って、人生を再スタートさせる時が来た」。

「私たちは今、恥辱の文化を改めるべき」「私たちがすべきこと、それは思いやりと共感を取り戻すこと」と、肩書が社会活動家となった彼女は続ける。学者の言葉を引きながら、「少数派でも一貫して主張し続けることで変化を起こせる」「私たちはよく表現の自由について語るが、それに伴う責任についても語るべき」「みんな自己主張したい。けどきちんと発言するのと、目立とうとして発言するのは違う」。

プレゼンのエンディング。テレビは固唾をのんでモニカの話に聞き入る聴衆と場の空気を映し出した。そしてかつて恥辱にまみれ、完膚なきまでに打ちのめされた一人の女性が、自らの負の経験をとことん直視することで正に転換し、確かな足取りで再チャレンジし始めていることを魅せていた。最後の挨拶は、全員がスタンディングオベーションとなった。

正直、驚いた。17年前、テレビニュースは毎日モニカを描きながらも、共感なき取材は彼女の内面を全く映していなかった。映像メディアテレビの限界である。ところが同じテレビが、瀬戸際から生還した彼女の言葉と実存を通じて、再チャレンジを評価する米国の可能性を示したからである。

そしてもう一つ、“モニカとテッド”が示したアメリカの実力を、17年前にも筆者は見せつけられていたことを思い出した。98年夏、その時筆者はABC「ナイトライン(Nightline)」の現場にいた。スキャンダル発覚から半年後、「不倫疑惑」の物証となったドレス(大統領の精液が付着したもの)が出て来た瞬間だった。

1998年の“モニカとテッド”

その日筆者は、ABCニュースの好意で番組が放送されるまでの一部始終を見学させてもらっていた。当時の同番組は、一つのテーマを深夜に30分で描く、米国でのラストニュース的な存在だった。NHK「クローズアップ現

スキャンダルについて語るテッド・コッペル(YouTubeから)

スキャンダルについて語るテッド・コッペル(YouTubeから)

代」の原型のような報道番組で、キャスターはテッド・コッペル(Ted Koppel)。硬派なインタビューでは米国随一と言われたジャーナリストである。

朝10時にスタッフが全員集合。予定では暇ネタが用意されていたが、超ド級のネタが飛び込み、テーマは急きょ差し替えとなった。そう、取材の対象モニカと番組を司るテッドが、この日の主人公になったのである。

ちょっと考えた末、筆者は駆け出しのスタッフに張り付くことにした。モンタナ州の大学から来ているインターン生だった。最初のミーティングの後、彼は1月以降のスキャンダルを伝えるニュース映像と、事件を多角的に解説するためのコメントバック映像をアーカイブにこもって集め始めた。

お昼過ぎ、番組ディレクターからVTRのあらすじが届く。これに基づき、インターン生は用意する映像を修正し始めた。そして夕方、今度は比較的しっかりとしたVTRの構成と仮のコメントが届く。またしても彼は、最適な映像を集めにアーカイブに走った。

実はインターン生は、試用期間で才能が認められると、番組内に中継で登場するゲストの人選や出演交渉役として採用される。そして合格点をもらえると、初めてロケを任されたり、スタジオの演出を担当したりする。ところが不適格と見なされると契約終了となり、中央を離れて地方のテレビ局に務める羽目になる。つまり番組作りの各レイヤーで勝ち続けない限り次には上がれず、失敗すると地方で再起を図る道を強いられる。ただし地方で再評価されれば、再びニューヨークなどの大都市で大きな仕事に巡り合うこともある。メディアやジャーナリズムの世界に再チャレンジの仕組みがあり、才能と仕事のミスマッチを最小化しているのだという。日本では大学を出ると直ぐに記者やディレクターになる。ただしミスマッチも散見される。日米のメディアは、仕事のトータルデザインに大きな違いがあることを思い知らされたのである。

大きな違いはもう一つあった。VTRの編集の仕方が全く違うのである。ナイトラインでは、コメントが確定するまで編集は1カットもつながない。放送開始3時間ほど前、ようやくコメントが固まり、編集開始となった。と言っても、まず始まったのはコメント録り。編集室はドアを閉めると完全防音。部屋天井の真ん中からマイクが下りてくる。リポーターがまずナレーションを音声トラックに入れる所から始まった。次に編集マンはインタビューや効果音楽などをつなぐ。そして映像は、音声トラックにあわせて最後にはめ込んで行った。この間、約10分のVTRの編集作業は2時間未満、恐ろしく早い作業だった。

実は日本のテレビ局では、映像を先につないで後で音を入れて行く。音入れをMA(multi audio)と和製英語で読んでいるが、古くは「F-V」と呼んでいた局もあるが、これはフィルムで撮影したものをVTRにし音入れするからだ。つまりフィルム時代は映像の編集が先で、その後に音声を調整した。日本ではこの習慣が、そのままVTR時代にも踏襲されたのである。

ところが米国のニュースや報道番組では、VTR導入の際にどの作業手順が最も合理的かを議論したそうだ。その結果、音優先の考え方が登場し、ニュースや報道番組では音を先に編集する方式になった。映っているものをどう解釈するかで方針が変わり得る日本と、事実をどう認識したのか取材者の責任が重い米国。そしてVTR制作のプロセスも結果としての出来も、テンポに大きな差のある日本と米国。その差の大きさに圧倒された1日だったのである。

 

“再チャレンジ”の前提は試行錯誤!

80年前後のフィルムからVTRへという変革に続き、放送からインターネットへのイノベーションが15年ほど後に訪れた。全ての変化にはプラスとマイナスが伴うが、変化の振幅の小さい日本と、思いっきり大きい米国との差を、17年の時を隔てて筆者は再認識した。単純に良し悪しを比較できるものではないが、少なくともどれだけ深く状況に向き合い、次の一手を真剣に考えたのか。その違いを軽く見てはいけないと、二つの“モニカとテッド”は筆者に問いかけているような気がする。

【御礼】セミナー『民放キー5局の生き残り戦略2015』のご報告


5/15(金)に、セミナー『民放キー5局の生き残り戦略2015~メディア価値最大化に向けて~』を開催させていただきました。
お陰様をもちまして、約80名の方にご参加いただき、民放キー局のパネリストの方々による、非常にためになるお話/議論を伺うことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました㈱インテージの皆様、ご協力ありがとうございました。

なお、7/1(水)には、セミナー『テレビの価値はこう上げる!~3調査会社の㊙作戦~』を開催いたします。
現在参加受付を承っておりますので、ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

7/1(水)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)5/15(金)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

 

5/15(金)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー 

民放キー5局の生き残り戦略2015~メディア価値最大化に向けて~

<開催日時>  2015年5月15日(金)午後3時30分~6時30分
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> 日本テレビ インターネット事業局 太田正仁 副部長
テレビ朝日 総合ビジネス局ビジネス戦略部 前田寿之 部長
TBSテレビ メディアビジネス局 仲尾雅至 局長
テレビ東京 経営企画局 大木 努 局長
フジテレビ コンテンツ事業局コンテンツデザイン部 野村和生 副部長
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司

 


<開催趣旨>

地上波テレビのリーチは、この15年で15%ほど減少した。TVゲーム、レンタルビデオ、ネット、デジタル録画機等さまざまな要因があるが、テレビ番組のタイムシフト視聴は最大の要因になっている。こうした状況を受けて、テレビ局も見逃し配信に乗り出すなど、対応策を打ち始めている。テレビ番組の価値をどう上げるのか、いろいろな挑戦が始まっているのである。

セミナーでは、「番組の見逃し配信をどうマネタイズするのか」「録画再生視聴率の測定が始まったが、現実にはどう対応するのか」「テレビ局ならではの“放送外収入”増にはどんな妙手があるのか」などの課題を議論する。


<セミナーの概要>

【Ⅰ.2014年度を振り返る】
※各局のこの5年の流れを受けて、各局の編成戦略をどう位置づけているか?(自己紹介を兼ねる)

【Ⅱ.2015年度&中長期の主要戦略】(各局のプレゼン)
※タイムシフトを巡り、どうテレビ局の価値を上げて行くか?
テレビ局ならではの「放送外収入」をどう増やしていくのか?

日テレ  太田副部長
2014年1月より番組無料配信サービスをはじめて1年超。順調に集客を拡大しており、売上も増加しています。4月からはブランドを「日テレ無料(TADA!)」にリニューアル。コンテンツ数は立上げ当初の6番組から18番組まで増えています。
また、Huluの事業譲渡から1年、会員数は100万人を超え、急拡大しています。
2015年は、民放5社の見逃し配信サービスの開始やNETFLIXの日本進出など、動画配信市場の激変が予想されますが、そういった環境下での日本テレビの方向性をお話いたします。

テレ朝  前田部長
インターネットサービスを今後どう発展させていくのか。10月には民放局での本格的なキャッチアップ配信が始まる予定。 またテレビ朝日では、プロレス、ガールズ、お笑い、釣りなどを展開しているポータルサービスを推進する。地上波、BS、CS、メディアシティと組合せ、コンテンツを効果的にどう展開していくかが鍵である。

TBS  仲尾局長
TBSはメディアビジネス局で、CSチャンネル・動画配信・デジタルビジネス全般・DVDソ フト・アニメ制作・海外事業・商品化等ライセンス・TV通販など、多岐にわたる放 送外収入獲得に取り組んでいます。特に動画配信の分野ではTBSオンデマンドが2009年度に放送局の動画配信サービスで日本初の単年度黒字化を達成し、「ネット配信ビ ジネスは儲からない」という従来の通説を覆しました。 2014年10月からは無料配信による広告収益の獲得にもトライしています。TBSは全社的にタイムシフト・デバイスシフト・プレイスシフトへの対応のため「有料」 「無料」の両翼で動画配信の拡大に全社的に取り組んでいます。併せてテレビの価値を上げていくためのTBSのウィンドウ・コントロール戦略についても紹介します。

テレ東  大木局長
PCやタブレット、スマホ等とともにディバイスとしての「テレビ」、日本のコンテンツ市場をけん引する動画コンテンツとしての「テレビ」、広告市場の受け皿となる媒体としての「テレビ」などなど多様な文脈で使われる「テレビ」という言葉。果たして、「テレビ」の未来は明るいのか?とりわけ放送コンテンツの海外展開促進を軸に展望したい。

フジ  野村副部長
1月13日、フジテレビの無料番組配信「プラスセブン」がスタートした。動画配信サービス「フジテレビオンデマンド」はこれまでのTVODに加え、SVODコンテンツを大幅拡充、そして「プラスセブン」にてADVODを実現するなど、配信プラットフォームとして大きく成長し、その時代に合ったサービスを提供している。
そして2月2日、第二のフジテレビオンデマンドのスタートとも言える「コミック配信」が始まった。2015年はこれまで以上に動画配信サービスに大きな変化が起こることが予想されるが、これまで動画配信に取り組んで見えてきたもの、そしてその先に目指すものについて解説したい。さらに、フジテレビが考える「コンテンツデザイン」にも言及する。 

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【 Ⅲ.議論】
・番組のネット配信をどうマネタイズするか?
・録画再生視聴の増加にどう対応するのか?
・放送外収入をどう増やし、経営安定化を図るか?
・2020年代のテレビ局はどうなるのか?

 

<プロフィール>

日本テレビ インターネット事業局  太田正仁 副部長
メーカー系SE、フリーのSEを経て、1997年、株式会社リクルート入社。マーケティング部門、住宅部門(現SUUMO)、事業開発部門で、主に新規事業開発に従事。住宅関連の様々なサービスやR25式モバイル、L25モバイルなどを企画・立ち上げ。 2007年、日本テレビ放送網株式会社入社。デジタル戦略立案、新規事業企画、アライアンスなどの業務に従事。インターネットでの番組無料配信サービスや、Hulu事業推進プロジェクト、在京全キー局によるテレビポータルアプリ「ハミテレ」プロジェクトなどを実行中。

テレビ朝日 総合ビジネス局ビジネス戦略部  前田寿之 部長
青山学院大学大学院理工学専攻修了。1993年テレビ朝日入社。技術採用で当初はテロップ・CGの技術担当。 その後、データ放送とインターネット技術の統括、営業局企画マーケティング部長を経て、2014年7月から現職。現職では、インターネットサービス、コンテンツビジネス、イベント事業など放送広告収入以外の収入を取り扱う組織の戦略を担当。

TBSテレビ メディアビジネス局  仲尾雅至 局長
1986年東京放送(TBS)入社。ワイド番組制作、編成、営業を経て、1998年からBS-TBSの設立・開局、双方向番組制 作、BSデジタル普及促進に携わる。2005年にスカパー!新パック組成 幹事に従事、また、TCエンタテインメント(株)社長としてDVDソフト販売事業を立ち上げ。2011年から、次世代ビジネス企画室長として新事業開発を担当、海外市場開拓、デ ジタルビジネス開発や、ベンチャー企業出資・連携に取り組む。2015年4月より現職。

テレビ東京 経営企画局   大木 努 局長
1984年、テレビ東京入社、報道局に配属。1989年、初代のロンドン支局長。1995年、ワシントン支局長。その後、マーケット番組のプロデューサーを経て、2004年上場準備室。経営戦略局広報・IR部長、InterFM社長等を経て、ホールディングス設立後、現職(経営企画局長)に就く。

フジテレビ コンテンツ事業局コンテンツデザイン部  野村和生 副部長
1997年NTT北海道移動通信網(現NTTドコモ)に入社。心電図電送システムのデジタル化を担当し、2000年からNTTドコモにて地上デジタル放送東京パイロット実験やワンセグを始めとする新規事業企画・開発を担当した。2005年フジテレビ入社。モバイルサイトプロデューサー、CS放送スポーツ編成、ゲームプロデューサーを経て、2012年からフジテレビオンデマンドの事業執行責任者として現在に至る。インターネットオリジナル番組「めちゃ×2ユルんでるッ!」のプロデューサーを番組立ち上げ時より務めている。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

 

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