【御礼】セミナー『テレビ局からネットベンチャーへ ~見えてきたメディアの未来~』のご報告


1/18(水)に、セミナー『テレビ局からネットベンチャーへ ~見えてきたメディアの未来~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約50名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、3/1(水)には、セミナー
『権利者側から見るネット動画展開の課題と可能性』
を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

3/1(水)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)1/18(水)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

1/18(水)開催
次世代メディア研究所2017年セミナー企画
キーマンに聞く!①
 
テレビ局からネットベンチャーへ ~見えてきたメディアの未来~

<開催日時>  2017年1月18日(水)午後3時~5時30分
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト>
(予定)
株式会社アブリオ 代表取締役社長
C Channel株式会社 取締役 CCO 三枝 孝臣 氏
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司


<開催趣旨>

テレビ業界は、右肩下がりの状況が目立ち始めている。
“リアルタイム視聴率の低下”“広告収入の減少”“タイムシフト視聴の増加”などだ。

一方ネット動画の世界では、威勢の良い数字が飛び交う。
4月に始まったAbemaTVでは、アプリのDL数が1000万を突破した。
サービス開始1年となっ
たLINE LIVEは、総配信時間がまもなく12年分となる。
そして今年急伸したC Channelも、月
間再生数が2億6千万を超えた。
いずれも着実にマスメディアに成長しつつある。

こうしたテレビ放送の後退とネット動画の躍進の時代に、テレビ局からネットベンチャーに転身した三枝孝臣氏は、現状のテレビの課題を痛感し、ネット動画事業の可能性を確信したという。
氏の経験から、テレビの課題、新メディアの躍進ぶりを聞き、次世代のメディアはどうなっていくのかを議論する。

<セミナーの概要>

【前半:三枝孝臣氏によるプレゼン】(75分)

【後半:議論】(75分)

議論は以下の方向を予定!

*なぜHUTは下落してきたのか。今後も下落は続くのか。どの程度落ちるのか。
*若年層のテレビ離れに対策はあるか。
*タイムシフト視聴増にテレビ局はどう対応すべきか。広告営業のあり方は変わるか。
*ネット動画サービスの隆盛は本物か。
*今後も伸びるサービス、失速するサービスは。明暗はどこで別れるか。
*2020年代、2030年代にメディア状況はどう変わるか。

<講師プロフィール>

株式会社アブリオ 代表取締役社長 / C Channel株式会社 取締役 CCO 三枝 孝臣 氏

1966年東京生まれ。1989年慶應義塾大学経済学部卒業後、「今夜は最高!」に憧れテレビマンを目指し、日本テレビ放送網に入社入社二年目で深夜番組「DAISUKI!」を企画。そのヒットを皮切りに、バラエティ「夜もヒッパレ」「さんまSMAP」ドラマ「平成夫婦茶碗」「明日があるさ」「東京ワンダーホテル」情報番組「スッキリ」「シューイチ」「ZIP!」などの企画、演出、プロデューサーを担当。携わった番組は100を超える。2014年「Hulu」制作部長、インターネット事業担当部次長としてインターネット事業を推進。2015年に独立。新たにメディアデザイン事業会社、株式会社アブリオを設立。同時に元LINE株式会社社長森川亮とともにC Channel株式会社を創業、取締役に就任。C CHANNELは女性のための動画マガジン。F1層を中心に新しいメディアとして注目を集め、現在月間再生数2億6千万再生を超え、アジア6カ国に進出。またアブリオ代表としてISETANとのコンテンツキュレーション事業、富士ゼロックスとのコンテンツコミュニケーション事業などをローンチ。他にオレンジアンドパートナーズ顧問、ハウフルス取締役としても様々なコンテンツ事業を行っている。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。
ヤフー個人での執筆は、http://bylines.news.yahoo.co.jp/suzukiyuji/で参照可能。

【御礼】セミナー『全録がテレビをこう変える!』のご報告


9/27(火)に、セミナー『全録がテレビをこう変える!』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約50名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、11/8(火)には、セミナー『“今そこにある危機”への対応』を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

11/8(火)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)9/27(火)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

9/27(火)開催
次世代メディア研究所2016年セミナー 

全録がテレビをこう変える!

<開催日時>  2016年9月27日(火)午後2時~5時(通常回と時間が異なりますのでご注意ください)
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト>
(予定)
東芝映像ソリューション株式会社 VSクラウド&サービス推進室 片岡秀夫 室長

株式会社PTP 代表取締役 有吉昌康 社長

 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司

<受講料>
法人会員契約をされた企業の方は、契約人数まで無料。
※本セミナーを含め、セミナーが年10回開催されます。
※法人会員契約の詳細については、こちらをご覧ください。

それ以外の方(一般参加の方)は、1名につき2万円。


<開催趣旨>

全録を活用すると、こんなことができるようになる。
・視聴者は、過去の番組もオンデマンドかつピンポイントに視聴できる。
・リアルタイム視聴・録画予約再生・全録再生の違いから、番組改善のヒントが得られる。
・スポンサーは、他社のCM出稿状況が即座に把握でき、自社戦略の見直しが容易になる。
・地域局は、エリア内他局がローカルCMをどう放送しているか簡単に把握できるようになる。

地上波テレビの視聴率低下が顕著になっている。生活者の録画再生やインターネット接触が増え、リアルタイム視聴が減っているからだ。特に番組ジャンルによっては録画再生がリアルタイム視聴と同じくらい見られる状況もある。

この状況をさらに促進しようとしているのが全録機だ。
ただし全録機には、上記のような一面もあり、視聴者はテレビ番組をより“便利に”“深く”“自由に”視聴できるようになる。テレビ局は番組制作や営業の改善に活用できる。そしてスポンサーは、より効果的なマーケティングを実現できるようなるのである。

全録機はどんな条件が整うとブレークし始めるのか。その時、生活者のテレビ利用をどう変えるのか。さらに業界関係者のビジネスにどんな影響を及ぼし得るのかを議論する。

<セミナーの概要>

【Ⅰ.各講師によるプレゼン】(90分)

東芝映像ソリューション株式会社 VSクラウド&サービス推進室 片岡秀夫 室長

前半では、レグザの全録機能「タイムシフトマシン」でどのようなことが可能か紹介すると共に、利用者からの反響を紹介します。全録は利用者にとって、あらかじめ見る番組を調べてから録画予約するというような目的視聴ではなく、チャンネル切換が過去にまで遡れるようになった感覚で使われるリアルタイム視聴に近い側面があります。

後半は、ユーザが録画予約した場合と全録の場合とで、視聴される番組ジャンルやシーンにどのような違いがあるのか、リアルタイム視聴との関係もまじえてグラフを用いた紹介をします。あわせて、約30万サンプルのシングルソースデータだから実現できる、TimeOn 視聴ログによる他の分析事例もご紹介します。番組制作者やテレビ局にとって、どんな利点があるかを説明します。

株式会社PTP 代表取締役 有吉昌康 社長

PTPはテレビを1週間全録ができるHDDレコーダー「SPIDER」を開発。番組内のトピックやCMまでキーワードで自由自在に検索できるサービスを伴った”SPIDER PRO”として2007年に法人向けに発売した。
これは日本国内で初めてテレビを詳細に検索できるようにしたイノベーションであり、企業や官公庁の広報部門や広告代理店に普及した。一方で業界のプロや熱心なファンの間では、一般家庭用SPIDERの発売を待つ声も多いが、いまだ発売には至っていない。そのために欠かせないイノベーションを実現する必要があったからである。
それは何なのか。それは、放送業界初のサービスとなるが、広告主にとってはマーケティングのROIの向上へ、放送局にとっても、テレビの媒体価値が上がることにつながる

 

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 議論】(80分)

議論は以下の方向を予定!

*全録機はこれまでなぜあまり普及しなかったのか。ブレークの条件は?いつ頃、実現するのか?
*視聴者のテレビの見方はどう変わるのか?
*CM飛ばしなど、テレビ局のビジネスにはどんな影響があるのか?
*番組制作や営業の仕方はどう変わりうるのか?
*スポンサーにはどんなメリットが生まれるのか?
*2020年代、テレビの見方はどう変わっているのか?

<講師プロフィール>

東芝映像ソリューション株式会社 VSクラウド&サービス推進室 片岡秀夫 室長

1963年 東京都新宿区生まれ。1987年 早稲田大学 教育学部 教育心理学専修を卒業し株式会社東芝に入社。広告部でテレビスポット発注、視聴率分析、ラジオCM制作、ビデオデッキ「ARENA」のメディア計画、市場調査、広告制作を担当。toshiba.co.jp 立上げの後、DVD規格立上げで同部門に異動。DVD wweb 立上げやオーサリングツール開発支援、デモディスク企画・開発、DVD制作受注業務の後、世界初の HDD & DVD レコーダーの企画、ネットサービス立上げを経て、現業の TimeOn 「みるコレ」サービス、視聴ログ部門を統括。

株式会社PTP 代表取締役 有吉昌康 社長

1990年野村総合研究所入社。経営、マーケティングに関わるコンサルティング業務に携わる。2000年、国内企業、官公庁、地方自治体などの広報部門のデファクト・スタンダードなツールになっている「SPIDER PRO」を開発・販売する株式会社PTPを創業。以来、代表取締役就任を務める。 一橋大学商学部、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒業。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。
ヤフー個人での執筆は、http://bylines.news.yahoo.co.jp/suzukiyuji/で参照可能。 

【御礼】セミナー『タイムシフト時代のTVドラマの行方』のご報告


6/21(火)に、セミナー『タイムシフト時代のTVドラマの行方』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約50名の方にご参加いただくことができました。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、8/29(月)には、セミナー『有料放送の生き残り戦略2016(仮)』を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

8/29(月)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)6/21(火)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

6/21(火)開催
次世代メディア研究所2016年セミナー 

タイムシフト時代のTVドラマの行方

<開催日時>  2016年6月21日(火)午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト>
(予定)
日本テレビ 編成局編成部 担当副部長 西憲彦氏

テレビ朝日 総合編成局編成部担当部長 大川武宏氏

TBSテレビ 執行役員 貴島誠一郎氏

NHK 大河ドラマ『真田丸』制作統括 屋敷陽太郎氏

 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司


<開催趣旨>

地上波テレビの視聴率低下が顕著になっています。生活者の録画再生やインターネット接触が増え、リアルタイム視聴が減っているからです。この結果、番組ジャンルの中では、ドラマが最も大きな影響を受けています。自分の都合にあわせ、落ち着ける時にじっくり見たいタイプの番組だからです。
「リアルタイムに見てもらえるような工夫をしろ」というプレッシャーが制作現場にかかる場合があります。「このまま行けば、テレビドラマが消える」という危機感も出ています。

そこで当セミナーでは、各局を代表するドラマ担当者が、「視聴率低下にどう対応しようとしているのか」「どんな努力が有効なのか」「そもそもリアルタイム視聴が難しい時代とすると、どんな新たな指標が求められるか」「ビジネスモデルは何が望ましいのか」等を議論し、テレビドラマの今後の在り方を模索します。

<セミナーの概要>

【Ⅰ.各講師によるプレゼン】(80分:20分×4人)

・自己紹介
・より多くの人に見てもらうための努力
・視聴率による評価とドラマ制作現場の現実
・7月クール(今後)に向けた努力/挑戦

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 議論】(90分)

議論は以下の方向を予定!

*16年度春クールのドラマを振り返る
*視聴率アップのための施策は何がどこまで有効か?
*視聴率でドラマを評価することの意味
*連続視聴者数・満足度・次回視聴意欲など、他の指標はあり得るか?
*新たなビジネスモデルはあり得るか?

<講師プロフィール>

日本テレビ 編成局編成部 担当副部長 西憲彦氏
91年日本テレビ入社。ドラマ制作と編成を数年ごとに往復。この間、3年のAXON出向も経験。今年6月からチーフプロデューサーを拝命。 プロデューサーデビューは99年の「夜逃げ屋本舗」。代表作は「フードファイト」「斉藤さん」
「たったひとつの恋」「ヤング ブラック・ジャック」24時間テレビドラマ「小さな運転士 最後の夢」など。

テレビ朝日 総合編成局編成部担当部長 大川武宏氏
1997年 映画会社から転職、テレビ朝日入社。バラエティ制作配属。1999年にドラマ班へ異動「科捜研の女」、時代劇「八丁堀の七人AP担当。その後、主に東映京都制作の木曜8時枠を担当。「おみやさん」など2004年~石原プロモーション制作のドラマを担当。スペシャルドラマ「弟」でザ・ヒットメーカー賞受賞。その後、水9枠「警視庁捜査一課9係」、金曜ナイト「歌のおにいさん」などテレビ朝日のドラマ全枠の制作経験あり。2011年に映画事業部映画担当部長に異動。「相棒」「臨場」「トリック」の劇場版に参加。「探偵はBARにいる」「鍵泥棒のメソッド」に製作参加。2013年に現職、編成部ドラマ映画担当部長に異動。編成部企画で金曜ナイトドラマ「民王」CP。1日4時間のリピート枠も担当。

TBSテレビ 執行役員 貴島誠一郎氏
1957年鹿児島市生まれ。1982年TBSテレビ入社テレビ営業部。1986年編成部 1989年ドラマ制作部 1998年編成部企画総括 2003年ドリマックステレビジョン常務 2010年ドラマ制作センター長 2015年執行役員プロデューサー。「ずっとあなたが好きだった」「スゥイートホーム」 「愛していると言ってくれ」(ギャラクシー大賞、放送文化基金最優秀賞)「青い鳥」「官僚たちの夏」(芸術祭優秀賞)「LEADERS」。

NHK大河ドラマ『真田丸』制作統括 屋敷陽太郎氏
1970年、富山県生まれ。1993年、NHK入局 ほぼ一貫してドラマ番組制作に携わる。主な担当番組に、大河ドラマ『新選組!』、『篤姫』、『江~姫たちの戦国~』、土曜ドラマ『64(ロクヨン)』(芸術祭大賞受賞)、など。また、2000年から1年間、米国ロサンゼルスに派遣研修。

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

大河『真田丸』の賛否両論を論じてみた!


堺雅人の真田丸

NHK大河ドラマの視聴率は、ここ何年か不調続きだった。ところが三谷幸喜がシナリオを担当する今年の『真田丸』は、初回19.9%・2回目20.1%と久々に20%前後の好スタートを切り、ネット上でも賛辞の声が多く聞こえるようになっていた。

「三谷幸喜ワールド全開!大河ドラマ『真田丸』はなぜこんなに面白いのか いきなり視聴率20%超え」では、「1年間待ったかいがあった!―そう快哉を叫ぶ大河ファンもいるだろう。三谷幸喜の脚本は真田家も視聴者も翻弄し、さながらジェットコースターのよう」と絶賛だ。

「『真田丸』脚本 三谷流と大河流を使い分ける絶妙なバランス」でも、「私がこのドラマ全体に感じたのは、大事件の躍動感、スピード感というより、三谷幸喜脚本の“三谷ドラマファン、歴史ファン、大河ドラマファン、それぞれに配慮したバランス感覚”だった」とシナリオの巧みさを褒めている。

 

ところが3回目の視聴率が18.3%、4回目17.8%と少し下がり始めると、ネガティブな声が喧しくなって来た。

「視聴率下降で早くも暗雲!? NHK大河『真田丸』の勝算は?」では、「三谷氏は04年放送の『新選組!』で、時代考証を無視した脚本で不評を買った前科がある。厳しい歴史ファンも、“三谷ワールド”に期待するファンも、両方を満足させる脚本にできるのか、今後に注目でしょう」と芸能評論家に語らせ、ドラマの今後を不安視している。

「NHK大河ドラマ『真田丸』 まずまずのスタートを切ったが“不安要素”も……」も、近年多くの大河が初期に最高視聴率をとり、その後徐々に数字を下げている事実を捉え、「『真田丸』も近年の大河同様、初回が期待度最高値で、その後、視聴率は落ちていくばかりということにもなりかねない」と、『真田丸』の行く末に暗雲が立ち込めると断ずる。

 

視聴率漸減は当然の時代!?

しかし、ちょっと待って欲しい。視聴率はリアルタイムに放送を見た人しかカウントしない。今の時代、1年間ずっと日曜8時の放送に付き合い続ける人は、高齢者を中心にある層に限られる。そもそも賛否を投げかけている評論家や記者の方々も、過半は録画再生で番組を見ている。番組を制作し放送するテレビ局の職員も、大半が録画再生で済ませている。にも関わらず、リアルタイム視聴の比率のみを評価軸にしている議論は何か変ではないか。スライド1○

過去6年の大河4回放送分の視聴率を比較してみよう。図1の通り、『江~姫たちの戦国~』(11年)と『平清盛』(12年)を除くと、その後の4年は全て4回までで視聴率は下降傾向だ。しかも当初4回が20%を超えた『江』も、11回目には15.7%と4分の1以上の視聴者を失っていた。『平清盛』も、6回目には4分の1の視聴者を失っていた。中には10回目に4割以上の視聴者を失った『八重の桜』の例もある。忙しい現代人は、放送局のために生活しているわけではない。連続ドラマにずっと付き合ってくれると思いこむ方が変であろう。

最終回に向けどんどん視聴率が上昇した『家政婦のミタ』(11年・日本テレビ)や、『半沢直樹』(13年・TBS)は、例外中の例外である。3か月しか続かない民放の1クールドラマですら、大半は半ばから後半にかけ視聴率が下がることの方が多い時代なのである。ましてや、登場人物が多く、時間と空間が複雑に交錯しがちな大河ドラマは、録画してじっくり見たいという人が多くても不思議ではない。

 

自らの見立てを言わない批評記事

否定論でもう1点気に入らないのは、執筆者自信がそのドラマをどう見ているのかを語らないことが多い点だ。視聴率だけで良し悪しを言うのは論外だし、内容に触れてもネット上の声や評論家の意見を紹介してお仕舞というケースが多い。自らを安全圏に置いて、遠くから貶すだけというのは、如何なものかと思ってしまう。

では、今回の『真田丸』はどうだろうか。視聴率こそ最低だった4回目だが、番組論的には間違いなく面白い出来だったと断言できる。筆者はラジオドラマぐらいしか制作した経験がなく、テレビドラマの専門家ではない。ましてや大河は例年ほとんど見ていないし、三谷幸喜のファンでもない。それでも番組は、ドキュメンタリーだろうとドラマだろうと、はたまたバラエティだろうと、面白さには共通点があると考えている。45分の番組なら、最低1か所、できれば2~3か所、唸るような場面が出て来ることだ。

今回の「決断」では、真田信繁(堺雅人)の父・昌幸(草刈正雄)が、織田信長(吉田鋼太郎)に接見する直前に、徳川家康(内野聖陽)と対峙する場面が圧巻だ。昌幸に二心あったのではないかと疑う家康。実際は二君を天秤にかけていたが、最後までとぼける昌幸。最後は互いの目を睨みつけ、本心を探り合う二人。息を飲むシーンは、ドキュメンタリーなら現実を切り取った決定的シーンと言える名場面だろう。

この場面を今回の最大の山場とすると、前後には主人公・信繁が主役となる小山も配置されている。信繁が初めて家康と出会った時のやりとり。実の姉・松(木村佳乃)と夫の密会を探るシーン。安土への人質を、何としてでも松にしようと父を説得するシーン。いずれも心の綾が垣間見える佳作シーンと言えよう。三谷幸喜に詳しい方は、これ意外に番組の随所に出て来る彼の上手いシナリオを褒めるのだろうが、筆者はドラマを“どう書くか”は評論しない。でも“何を書くか”の部分では、明らかに今回の大河には重いパンチが次々に見る側に繰り出されている気がする。

 

満足度が裏付け

以上のようなドラマ素人の筆者の感覚は、実は統計的にちょっと裏付けられる。満足度という尺度だ。視聴率はリアルタイムに番組を見た人の多寡を示すもので、いわば人気を計るバロメーターの1つと言えよう。いっぽう満足度は、実際に番組を見た人の評価で、いわば質の高さを示すと言えよう。そして録画数は、好きな時間にじっくり見たいという、いわば関心と視聴意欲の高さを示す。いずれもデータニュース社「テレビウォッチャー」が毎日3000人のモニターが自発的に見た番組について、両データを計測している。

まず録画数についてだが、視聴率と同様に漸減傾向にある。初期数回で視聴し続けるのを諦めた人々が一定程度いるために起こる変化だろう。ところが満足度の方は、実際に番組を見た人が5段階評価で採点している。テレビ局が依頼して特定番組を視聴してもらうモニター調査とは異なり、視聴を強制していない分、かなり正確な数値が出ていると考えて良かろう。スライド2

データが残っている『軍師官兵衛』(14年)、『花燃ゆ』(15年)の当初4回と比較すると、『真田丸』の高さが群を抜いているのが分かる(図2)。他2本は漸減傾向だが、『真田丸』では初回に戸惑った視聴者が、徐々に高い評価をしはじめていることがわかる。ドラマの場合は3.7程度が平均値となっている。3.9超えは相当高いと言えよう。スライド3

満足度を視聴者全体ではなく、F1・F2・F3と女性を年齢別に分析すると、さらに面白い事実が浮かび上がる。図3の通り、戦国時代の力と知略の物語にも関わらず、F1(女20~34歳)とF3(女50歳以上)の評価が回を追うごとに高まっている。同様に戦国が舞台だった『軍師官兵衛』では、女性の視聴者がついて来られなかった様子が見て取れる。女の子大河とも言うべき『花燃ゆ』に至っては、本来は女性視聴者をターゲットにしたのだろうが、どの層も思惑通りには見てくれていなかったようだ。今回の三谷大河が、如何に幅広い層に届いているかがわかる。

 

以上が序盤4回までの『真田丸』への筆者の評価だ。実際に自分の目で見た感覚が、データで裏付けられる時代になった点が従来と大きく異なる。視聴率の動向だけで拙速に批判せず、まずは自らの目を信じて、そして“見える化”が進む番組評価システムを援用しつつ、良い番組を心行くまで楽しみたいものである。ただし本日の第5回「窮地」で、視聴率や満足度が極端に下がると、ここまで評価してきた筆者の立場がにわかに窮地に追い詰められる。

NHKさんよ、ぜひ頑張ってくださいね。

その差って何?各局の三が日ニュース~“公正・中立・客観”報道にも大人の事情~


お正月の三が日は、スポーツのビッグイベントが目白押し。

160102箱根駅伝スタート箱根駅伝を初め、サッカー天皇杯・ニューイヤー駅伝・ライスボウル・高校と大学のラグビーやサッカー全国大会が連日行われていた。各局もスポーツ中継に多くの時間を割いていた。

普段のニュースは“公正・中立・客観”を掲げるため、各局似たような項目が並ぶ。ところが正月三が日のニュースは放送時間が少ないこともあり、1年で最も局間のニュース差が大きくなる。特に各局の思惑も加わり、全然別のニュースになることがある。

まず元旦。夕方ニュースはNHKが20分、テレ朝とTBSが15分、日テレとフジが10分と、各局普段よりかなり短かった。この日のスポーツでは、NHKがサッカー天皇杯、TBSがニューイヤー駅伝を中継した。毎年恒例のビッグイベントだ。しかしNHKは天皇杯だけニュースにし、TBSの駅伝は扱わなかった。逆にTBSも、駅伝・高校ラグビー等を放送しながら、NHKの天皇杯は取り上げなかった。スポーツ中継がなかった日テレもフジも、天皇杯・駅伝ともに無視した。テレ朝だけが天皇杯を扱い、“公正・中立・客観”の印象があった。

「その差って何?」ともっと呆れるのは翌2日。NHKは大学ラグビー、日テレが箱根駅伝往路と高校男子サッカーを中継した。NHKは箱根と大学ラグビーを取り上げたが、日テレは、箱根で8分強、高校サッカーに4分半投入するも、大学ラグビーは無視した。翌3日には箱根復路と高校サッカーの中継がある。さらに2日夜には箱根駅伝ダイジェストがBS日本で放送される。明らかに番宣を兼ねた戦略とみた。ちなみに日テレだけが中継する高校サッカーについては、どの局も全く扱っていない。

3日目。日テレが箱根駅伝復路と高校男子サッカー、NHKBS1がライスボウル、そしてTBSが高校女子サッカーを中継した。一方ニュースでは、日テレはこの日も、箱根で8分強、高校サッカー3分半と多くの時間を割いた。箱根はダイジェスト、高校サッカーは決勝戦まで中継がある。やはり番宣色が強いニュースだった。日テレ以外は、箱根駅伝とライスボウルを無視しなかった。イベントの話題性から見て頷ける選択だが、TBSだけは自局で中継した高校女子サッカーにも2分40秒使った。しかもニュースの途中で、地上波・BS・CSでの中継告知を入れて来た。日テレ同様、TBSもかなり露骨な戦略と言えよう。

以上のように正月三が日は、大人の事情が露骨に表れる。筆者が知る限りこうした報道姿勢の違いは、2000年7月11日夜のニュースでも大きかった。米国大リーグのオールスター戦の日で、1番イチロー選手のヒットで始まり、最終回を大魔神の佐々木選手が締めた試合だった。中継を担当したTBSは、「ニュース23」の大半をこの話に費やした。他局も同試合をニュース冒頭あるいは前半で大きく扱っていたが、唯一日テレ「きょうの出来事」だけが、後半でちょっと扱っただけだった。しかもイチロー選手・佐々木選手の活躍を、何故か当時巨人軍監督だった長嶋監督に語らせてニュース項目を終わらせていた。 実は前世紀まで、巨人戦中継が強かった日テレ内には、日本で脚光を浴び始めた米大リーグを大きく扱うなという指令が出ていたという。逆に日テレに対抗すべく、大リーグを前面に出す局も少なくなかった。こうした経営の思惑が明確に出たのである。当時「ニュース23」は筑紫哲也氏がキャスターだったが、筑紫氏でも“大人の事情”は無視し切れなかったようである。

ニュースは“公正・中立・客観”を標榜している。しかし現実は記者個人の能力・傾向や会社の経営方針で、そうでもないニュースが出ることもある。正月三が日はその典型のような時期だが、これを“公正・中立・客観”でないと噛みつく人はいない。米国では1987年に既にフェアネスドクトリン(公平原則)は撤廃されている。簡単に言うと、姿勢として求められるものでも、現実的にはあり得ないことを金科玉条のように掲げることは、問題なしとしないということだろう。最近で言えば「放送法違反!」などという恣意的な批判も、全体として何が妥当かの合意があれば退けられることだろう。いずれにしても、理想と現実が乖離し始めている今日の放送について、一度立ち止まって客観視してみる時期ではないだろうか。

TVドラマ再考(下) 日テレドラマの初回はなぜ強い?


80年代は“ドラマのTBS”。90年代は“トレンディドラマ”のフジテレビ。しかし今、ドラマの視聴率は日テレが最も安定している。実はその前提に、初回で安定した視聴率を叩き出す日テレならではの仕組みがある。その一端とは・・・・

今クールのドラマ初回では、TBS「下町ロケット」が最高視聴率!

今クールのドラマ初回では、TBS「下町ロケット」が最高視聴率!

連続ドラマは初回が決定的!

「TVドラマ再考(中)」では、2015年夏までの6クールの主なドラマ枠を局別に比較し、平均視聴率が日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビ、TBSの順になっていると述べた。ドラマの視聴率の高低を決めるのは、本の良し悪し、出演者の魅力、演出の力など要因はいろいろあるが、初回ドラマの視聴率もドラマ全体の平均視聴率に大きな影響を与える。ドラマは初回から見る人が大半で、途中から見る人は多くない。つまり初回を見てもらわないと始まらないのである。

事実、2015年夏までの6クールのGP帯ドラマで平均視聴率が初回を上回ったのは、フジ「恋仲」(15年夏)、テレ朝「ドクターX」(14年秋)、フジ「昼顔」(14年夏)、テレ朝「BORDER」(14年春)など10本のみ。いずれも独特の世界を描いた話題作だ。この間のドラマは80本ほどあるので、8割以上のドラマは初回の視聴率が最も高く、2回目以降数字を落として行く傾向にある。

 

日本テレビは初回が強い

図1 主なドラマ枠の初回視聴率 2015年秋までの7クールで見ると、初回視聴率が最も高かったドラマはフジ「HERO」(14年夏)の26.5%だった。2位はテレ朝の「ドクターX」(14年秋)で21.3%。これらのドラマは平均視聴率も「HERO」21.3%、「ドクターX」22.9%と極めて高い数字となった。さらに「HERO」を含むフジ月9枠の7ドラマの初回平均は15.2%、「ドクターX」のテレ朝木9枠は14.7%と、全ドラマ枠の1位2位を占めている(図1)。

ところが局の初回平均となると話が違ってくる。フジの4枠初回平均は11.5%、テレ朝は12.4%で、13.5%の日テレに大きく水を空けられているからだ。しかも同一枠を7クールで比べてみると、日テレ以外はクールによる差が大きい。例えばフジ月9では、「HERO」(14年夏)の26.5%に対して、今年夏クールの「恋仲」は9.8%と半分にも満たなかった。フジの火10枠に至っては、「銭の戦争」(15年冬)14.1%もあったが、「戦う!書店ガール」(15年春)6.2%や「HEAT」(15年夏)6.6%など、初回から極端に低いドラマが複数あった。

TBSも例外ではない。金10枠の「アリスの棘」(14年春)は14.2%と好調なスタートを切っていたが、「表参道高校合唱部!」(15年夏)は初回からいきなり6.6%、火10枠の「女はそれを許さない」(14年秋)も7.0%、「まっしろ」(15年冬)7.9%。今クールでも「結婚式の前の日に」が7.7%と初回から躓くケースが頻発している。テレ朝も木9枠は、「ドクターX」の21.3%があれば、14年春の「BORDER」と15年夏の「エイジハラスメント」はそれぞれ初回が一桁に終わっていた。

以上の3局に対して、日テレのドラマ初回の安定感は他を寄せ付けない。例えば水10枠は特に好調だった「花咲舞が黙ってない」(14年春)の初回17.2%を除くと、他6ドラマは13.6%から14.7%とわずか1.1%の中に全て入っていた。土9枠も唯一9.0%と一桁で始まった「学校のカイダン」(15年冬)を除くと、他6ドラマは12.4%から13.4%と1%の範囲に収まる。さらに今春から新設された日曜10時30分の枠も、第一弾となった「ワイルド・ヒーローズ」こそ9.0%と一桁に留まったが、以後「デスノート」16.9%、「エンジェル・ハート」12.5%と安定している。他3局と比べ、日テレのドラマ初回の強さは群を抜いているのである。

 

強さの前提に宣伝体制あり

 では日テレドラマの初回は何故かくも強いのか。前提には番組宣伝の充実がある。図2は今クールに放送されている9ドラマの、初回放送に向けて行われた番組宣伝の実績を示したものである。ピンクの棒グラフは初回放送前一週間に主人公を演じた役者が出演した番組数を示す。そのうち視聴率の高いGP帯に放送された番組数は赤の棒グラフ。そしてスポットやミニ番組などの本数が緑となる。図2 主なドラマ初回の番宣実績

例えばテレ朝「遺産争族」の主人公向井理は、初回放送直前一週間で9本の番組に出演したが、朝・昼・深夜の番組が中心で、GP帯のバラエティ番組への出演はゼロだった(ミニ番組やスポットは5本)。TBSが力を注ぐ日曜9時「下町ロケット」では、主人公の阿部寛は6本の番組に出演したが、GP帯は1本のみ(ミニ番組やスポットは8本)。フジの看板ドラマ月9「5→9」でも、主人公の石原さとみは8本の番組に出演し、うち4本がGP帯の放送(ミニ番組やスポットは8本)に留まった。

いっぽう日本テレビの番組宣伝は別格だ。例えば水曜10時の「偽装の夫婦」では、主人公の天海祐希は13本の番組に出演し、うち6本がGP帯だった。放送前はほぼ毎日夜のバラエティに登場していた格好だ。しかも日テレの場合、他局のバラエティより視聴率が高い。つまり本数が多く個別番組の視聴率が高いので、GRP換算にすると他局より露出度が桁違いになる。さらにミニ番組やスポットでの露出も11本と、今クールのドラマでは最多となっていた。ちなみに「偽装の夫婦」と“ドラマ・アラフォー対決”と呼ばれたフジ「オトナ女子」の篠原涼子は、出演番組2本、うちGP帯1本、スポットなど2本に留まった。初回視聴率は5%ほどの差がついたが、ドラマの内容以前に視聴者の認知度に大差がついていた可能性がある。

では何故、日テレではドラマのメインキャストがかくもバラエティ番組などに頻繁に出演できるのか。その鍵は同局の人事制度にある。同局では現在放送を統括している小杉善信専務を初め、多くのプロデューサーがバラエティからドラマへの異動を経験している。今クールの土曜9時「掟上今日子の備忘録」がドラマデビュー戦となった松本京子プロデューサーも、「世界の果てまでイッテQ!」などバラエティ番組をこの春まで担当していた。つまりキー局の中で、バラエティとドラマの関係が最も良い局と言えそうで、結果としてドラマの番宣を兼ねたバラエティの制作が普通に行われているのである。

筆者も昨春までテレビ局に身を置き、制作や編成の現場で仕事をしてきた。一般的にテレビ局のプロデューサーやディレクターは、自分の美意識や世界観で番組の全てをコントロールしたくなるものだ。他の番組への協力が大前提というやり方には、拒否感を持つ担当者も少なくない。一国一城の主になりたいのである。そんな現場の風潮にありながら、番組相互が送客し合うような連携・協力を日常的に徹底している日本テレビ。現在、視聴率や広告収入で独壇場となっているが、その強さの秘密がドラマ初回の強さにも表れているようだ。

TVドラマ再考(中) “視聴率×満足度×録画数”で見えること!


「TVドラマ再考(上)」では、一見好調なスタートを切ったように見える秋クールも、実は右肩下がりのトレンドにあることを検証した。今回は視聴率という量的調査のみを使わず、満足度や録画数など質的領域にも踏み込むと何が見えて来るのかに挑んでみたい。

ドラマ視聴率の局別順位

2014年春から15年夏までの6クールの主なドラマ枠を局別に比較すると、平均視聴率は1位が日本テレビで11.83%(水10と土9の2枠:日曜10時30からの枠は15年春からのため除外)。2位はテレビ朝日で10.99%(木8と木9の2枠:水曜9時は2クールものがあるために除外)。3位フジテレビ9.68%(月9・火10・水10・木10の4枠)。4位TBS8.95%(火10・金10・日9の3枠:木9は15年秋から廃止のため除外)。ドラマの局別順位は、総じて編成表全体の順位と同じとなった。

ただし過去6クールでは、平均視聴率が突出して高かったドラマが2本あった。14年秋クールに放送されたテレ朝の「ドクターX」22.9%と、14年夏クールのフジ「HERO」21.3%だ。もし両局から2ドラマを除くと、平均視聴率はテレ朝9.91%、フジ9.17%、TBS8.95%で順位は変わらないものの、3局の差はぐっと縮まる。日テレの独走、残り3局のせめぎ合いという構図になる。

視聴率と録画数の関係

録画されることの多いドラマで比較すると、視聴率とは異なる風景が見える。録画再生視聴率については、ビデオリサーチ社が14年春から関東300世帯を対象に調べているが、残念ながら公表していないので、本稿では「テレビウォッチャー」を提供しているデータニュース社のデータを使用する。関東3000人の地上波テレビの視聴と、全国3000人のBS視聴の実態を調べている。視聴度合・録画状況・番組満足度・自由記述による感想などを毎日収集している調査会社だ。

まず3000人の視聴者のうち、何人がそのドラマを録画したかで見ると、該当期間中に多く録画されたドラマの上位15位は以下の通りとなった(人数の分母は3000人の調査パネル)。

1位:フジテレビ「HERO」・・・・・・・・・・・・・259人

2位:TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」・・・・・・・・214人

3位:日本テレビ「きょうは会社休みます。」・・・・・・ 206人

4位:テレビ朝日「ドクターX」・・・・・・・・・・・・205人

5位:テレビ朝日「アイムホーム」・・・・・・・・・・・205人

6位:フジテレビ「信長協奏曲」・・・・・・・・・・・・193人

7位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・193人

8位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・191人

9位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 184人

10位:日本テレビ「○○妻」・・・・・・・・・・・・・・183人

11位:フジテレビ「ようこそ、わが家へ」・・・・・・・・181人

12位:日本テレビ「Dr.倫太郎」・・・・・・・・・・・ 178人

13位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(15年夏)・・・175人

14位:TBS「アリスの棘」・・・・・・・・・・・・・・174人

15位:フジテレビ「デート~恋とはどんなものかしら~」・166人

如何だろうか。上位はいずれも話題作、問題作が並ぶ。録画数の多いドラマは、名作、傑作、力作など、評価の高いドラマが多いと思われる。「じっくり見たい」「保存しておきたい」など、視聴者の熱い思いを反映していると考えられているからである。

では次に、平均視聴率1%あたりの録画数でランキングしてみよう。一般には視聴率が高いと録画再生が多いと言われるが、1%あたり録画数は単純な録画数とは大きく異なる結果となった。

1位:フジテレビ「リスクの神様」・・・・・・・・・・・25人

2位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・21人

3位:TBS「家族狩り」・・・・・・・・・・・・・・・20人

4位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・19人

5位:TBS「ごめんね青春!」・・・・・・・・・・・・18人

6位:フジテレビ「探偵の探偵」・・・・・・・・・・・・18人

7位:TBS「アルジャーノンに花束を」・・・・・・・・18人

8位:フジテレビ「ファーストクラス」・・・・・・・・・18人

9位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 18人

10位:フジテレビ「SMOKING GUN」・・・・・・ 17人

11位:TBS「まっしろ」・・・・・・・・・・・・・・・17人

12位:フジテレビ「若者たち2014」・・・・・・・・・・ 17人

13位:TBS「マザー・ゲーム~彼女たちの階級~」・・・17人

14位:フジテレビ「残念な夫。」・・・・・・・・・・・・ 16人

15位:フジテレビ「心がポキッとね」・・・・・・・・・・15人

フジ「リスクの神様」が断トツの一位となった。平均視聴率は5.1%と低迷したが、ビジネスマンなど一部の人々には強いニーズがあり続けたドラマだったと言えよう。

ところで視聴率1%あたり録画数の上位には、強烈な特徴がある。まず上位15位中13本が視聴率一桁となっていること。二桁となった2本も、かろうじて10%台と必ずしも好成績ではなかった。次に上位15本はすべてTBSとフジテレビで占められていること。さらに上位はTBSの占める割合が高く、しかもベスト10のうちの4本は金曜10時枠が占めている。TVドラマとして娯楽性を重視するより、意欲作・問題作など挑戦的な作品が多いことが分かる。

テレビ局と録画数の関係

過去6クールのドラマ局別平均視聴率が、1位日本テレビ・2位テレビ朝日・3位フジテレビ・4位TBSとなったことは既に述べた。では視聴率1%あたりの局別平均録画数をみると、1位TBS15.56人・2位フジテレビ14.29人・3位日本テレビ11.13人・4位テレビ朝日10.02人と、視聴率順位とはほぼ逆の関係になった。この順位は、視聴率の割に録画されることの多いドラマを多く作る局の順位と言える(図1参照)。

図1 視聴率と録画数の関係 1位TBS・2位フジと、3位日テレ・4位テレ朝との間には大きな開きがある。まず考えられるのは、テレ朝のドラマは中高年の視聴者が多く、録画再生する習慣の乏しい層が対象となっていると考えられる。例えば1%あたり録画数のワースト3は、1位「刑事110キロ」5.1人・2位「科捜研の女」5.8人・3位「京都人情捜査ファイル」7.4人とすべてテレ朝のドラマだ。ベスト3と比べると、3~4倍の差がある。明らかに年齢層の高い視聴者をターゲットにしているがゆえの結果と言えよう。

局別の平均でTBSやフジに3~4人以上離されて3位の日テレの場合は、必ずしも中高年狙いのドラマではない。水曜10時はF2(女35~49歳)を中心にした女性向けドラマだ。そして土曜9時は、ティーンとその親の随伴視聴を意識したドラマが多い。ではなぜ録画数がTBSやフジほど多くないのか。実は娯楽性重視の姿勢が鍵だ。例えば原作者と銀行という舞台がTBS「半沢直樹」と同じ「花咲舞が黙ってない」(14年春と15年夏クール放送)は、それぞれ1%あたり録画数が10.2人と12.1人と決して高くない。制作時にシリアスな部分を抑え、滑稽なシーンを増やす演出で、敢えて気楽に見られる番組にすることで録画再生に回されないように努めていたという。「花咲舞が黙ってない」は、いずれもクール内1位をとっているように、視聴率重視の作戦はピタリと当っていたと言えよう。

視聴率・録画数・満足度の関係

では次に、番組を視聴した人の満足度を見てみよう。「テレビウォッチャー」では、自発的に番組を視聴した人の満足度を5段階評価で投票してもらっている。該当期間中に満足度の平均値が高かったドラマの上位15番組は以下の通り。( )内は平均視聴率。【 】内は録画総数。< >内は視聴率1%あたり録画数。

1位:TBS「天皇の料理番」・・・・・・・・・・・・・4.15(14.5%)【157人】<10.8人>

2位:日本テレビ「きょうは会社休みます。」・・・・・・ 4.07(16.0%)【206人】<12.9人>

3位:テレビ朝日「ドクターX」・・・・・・・・・・・・4.06(22.9%)【205人】< 9.0人>

4位:フジテレビ「銭の戦争」・・・・・・・・・・・・・4.03(13.4%)【171人】<12.8人>

5位:TBS「Nのために」・・・・・・・・・・・・・・4.02( 9.0%)【191人】<21.2人>

6位:フジテレビ「続・最後から二番目の恋」・・・・・・4.00(12.9%)【163人】<12.6人>

7位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(15年夏)・・・ 4.00(14.5%)【175人】<10.2人>

8位:日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(14年春)・・・ 3.98(16.0%)【164人】<12.1人>

9位:TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」・・・・・・・・3.96(14.5%)【214人】<14.8人>

10位:TBS「ウロボロス~この愛こそ、正義。」・・・・ 3.92(10.4%)【184人】<17.7人>

11位:TBS「流星ワゴン」・・・・・・・・・・・・・・3.91(10.3%)【193人】<18.7人>

12位:フジテレビ「信長協奏曲」・・・・・・・・・・・・3.89(12.5%)【193人】<15.5人>

13位:フジテレビ「HERO」・・・・・・・・・・・・・3.89(21.3%)【259人】<12.1人>

14位:フジテレビ「素敵な選TAXI」・・・・・・・・・3.89(10.3%)【134人】<13.0人>

15位:TBS「アリスの棘」・・・・・・・・・・・・・・3.88(11.1%)【174人】<15.7人>

以上のデータから、こんな傾向を導き出してみた。まず視聴率・満足度・録画数のいずれも高いドラマは、視聴者層の間口が広く、個々の視聴者の心にしっかり届いていたホームランだった可能性が高い。テレ朝「ドクターX」を筆頭に、フジ「HERO」、日テレ「きょうは会社休みます。」「花咲舞が黙ってない」、TBS「ルーズヴェルト・ゲーム」等が該当する。

次に視聴率・満足度・録画数のいずれも一定程度高かったドラマは二塁打。満足度がブッチギリでトップだったTBS「天皇の料理番」を初め、フジ「銭の戦争」「続・最後から二番目の恋」「信長協奏曲」あたりがこの範疇に相当する。

図2 視聴率と満足度の関係

図2 視聴率と満足度の関係

最後に視聴率は高くなかったが、満足度が高く録画数が多いドラマもあった。シングルヒットと位置付けたい作品だが、「アリスの棘」「流星ワゴン」「流星ワゴン」「Nのために」と実はすべてTBSのドラマ。視聴率の高い番組が録画再生も多いというのが一般論だったが、TBSのドラマについては明らかにこれが当てはまらない。しかも4本中3本は金曜10時枠という特徴がある。

「満足度が高い=番組への評価が高い」に加え、「録画再生が多い=確実にじっくり見たい」ということだろうが、残念ながら視聴率が高くないということは視聴者層の間口が広くないということだろう。狭く深く刺さるドラマとも言える。かつて“ドラマのTBS”と言われたほど、同局のドラマには伝統がある。しかし良いドラマを制作しながら「視聴率につながっていない=マネタイズできていない」とすれば、これは編成や経営にも責任の一端がありそうだ。当シリーズ最終回となる次号では、この辺りの問題を深掘りしてみたい。

 

【御礼】セミナー『広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~』のご報告


11/4(水)に、セミナー『広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~』を開催致しました。
お陰様をもちまして、約80名の方にご参加いただくことができました。
議論パートではスポンサー企業の方をはじめ多くの方にご意見を発表いただき、有意義な時間となったのではないかと思います。
参加者の皆様、またパネリストの方々及び会場設営等ご協力をいただきました皆様、ありがとうございました。

なお、12/4(金)には、セミナートータルリーチ~テレビの価値はどう上がるのか?~を開催致します。
ご希望の方は是非ご参加いただけますと幸いです。

12/4(金)開催セミナーの詳細はこちらをご参照ください。

 

(参考)11/4(水)に開催したセミナーの詳細情報は以下の通りです。

 

11/4(水)開催
次世代メディア研究所2015年セミナー 

広告市場 最前線~日本にどう波及するか?~

<開催日時>  2015年11月4日()午後3時~6時
 <会  場> インテージ秋葉原ビル・セミナールーム
(JR・地下鉄日比谷線秋葉原駅から徒歩3分・ 地下鉄銀座線末広町駅から4分)
 <パネリスト> ㈱インテージ MCA事業本部 企画営業1部2グループ
グループマネージャー/コンサルタント 高橋智嗣 氏
ヤフー㈱ マーケティングソリューションカンパニー ビデオ広告営業責任者
㈱GYAO取締役 兼 営業本部長 半田英智 氏
< 討 論 者 > 大手広告主から、宣伝部やデジタル室のトップ数名が参加
 <モデレーター> 次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司


<開催趣旨>

世界的に既存メディアへの広告出稿は低迷し、インターネット広告が急伸している。中でも動画広告の勢いが目覚ましい。米国では各メディアの広告効果測定、効果的なCM制作、クロスメディアでの最適出稿法などの研究が進んでいる。その中では、テレビとネットをどう位置づけるかが話題の中心になっている。テレビ局側からは、話題提供力の大きさからテレビの新たな可能性が提示されている。ネット側からは、動画映像の可能性がホットイシューとなっている。

こうした最前線の話題を紹介し、日本で多くのCM出稿をしている大手スポンサーの担当者を交え、世界の先端事例が日本にどう波及していくのか。その結果、テレビなど既存メディアにはどんな影響があるのか等を議論する。研究レベルに留まらず、実務者の現実的な判断を基に、メディアの今後を展望する。

<セミナーの概要>

【Ⅰ.広告市場最前線についてのプレゼン】(80分)

 (株)インテージ MCA事業本部 高橋智嗣氏

『ARFからみる米国メディア事情 ~各TVメディアの、広告効果測定の為のアプローチ~』

Advertising Research Foundation、通称ARFとは、広告調査に関連する企業、大学が参加するNPOであり、400以上の広告主、広告代理店、メディア、調査会社が参加する、世界で最も権威ある広告関連組織(協会)の一つ。インテージはARFの主要カンファレンスに参加し、グローバルな広告、メディア、マーケティング、リサーチのトレンド及び、それらを取り巻く環境を把握、様々な企業や団体と意見交換をしている。
今回は、このARFカンファレンスで取り上げられたテーマの中から、コミュニケーションの環境変化と企業の対応、クロスプラットフォームの現状と広告効果測定、氾濫するデータの統合的活用等に対し、主にTV・動画メディアの最先端の事例も交え、得られた知見を紹介する。
主なトピックは、「コミュニケーション環境変化と対応」「クロスプラットフォーム、広告効果計測」「クリエイティブ/コンテンツのリサーチ事例」「データの統合的活用」「各媒体、代理店の動き」。世界規模の大きな変化の中で、今広告を取り巻く環境で何が起きているか、広告効果とは何か、それをどう測定し認識するか、を紹介する。

ヤフー(株) マーケティングソリューションカンパニー/(株)GYAO 半田英智氏

『急伸する動画広告~欧米の実態と日本の展望~』

欧米の動画広告の飛躍的発展と成長に対して日本においても2014年のビデオ広告元年という言葉と共に大きな成長が始まってきている。その背景は、欧米諸国でビデオ広告出稿が進む理由や、広告主が求める効果等と同じなのか。それとも日本独自の活用方法や効果が見出されてきているのか。まずはネット側から見た欧米諸国の最前線を紹介し、現在のYahoo! JAPAN、GYAO!のビデオ広告の利活用状況を踏まえながら、日本で何が起ころうとしているのかを解説する。

- 休憩 -(10分)

【Ⅱ.Q&A / 大手スポンサーを交えた議論】(90分)

 

<講師プロフィール>

(株)インテージ MCA事業本部 高橋智嗣氏
外資系FMCGメーカー、コンサルティングファーム、外資系TVメディアでのブランドマーケティングマネージャー&ディストリビューションマネージャーとして、広告主と媒体社、両方の業界で一貫してマーケティングやブランディングのキャリアを積んだ後、2014年に株式会社インテージに入社。現在は主にメディア業界に対し、リサーチ、データベースを活用したマーケティング戦略支援を統括する。消費者行動の文脈からのメディア研究が趣味。筑波大学大学院ビジネス科学研究科 経営システム科学専攻修了(MBA)。

ヤフー(株) マーケティングソリューションカンパニー/(株)GYAO 半田英智氏
2000年株式会社USEN入社。2001年より光ファイバーブロードバンド事業に従事し、全国各地の統括支店長を歴任した後の2006年に動画配信事業のGyaO事業本部へ異動。2009年、株式会社USEN のGyaO事業がヤフー株式会社への売却に伴い、ヤフーグループにおける新生GyaO!にて引き続き動画広告事業に携わり、2012年に株式会社GyaO(現 株式会社GYAO)取締役に就任(~現任)。2014年よりヤフー株式会社としての本格的ビデオ広告事業立ち上げに伴いヤフー株式会社マーケティングソリューションカンパニーにてビデオ広告営業責任者を兼務。約10年に渡り動画広告事業に従事している。 

次世代メディア研究所 代表 鈴木祐司
1982年にNHK入局。制作現場では主にドキュメンタリー番組の制作を担当。97年に放送文化研究所に異動。98年日米ジャーナリスト交換プログラムで、アメリカの放送デジタル化の動向を視察。2003年放送総局解説委員室解説委員兼任(専門分野はIT・デジタル)。09年編成局編成センターへ異動。大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施、他に各種番組のミニ動画をネット配信し、NHKのリーチ拡大を図る。12年にNHKスペシャル事務局へ移動し、放送前にミニ動画を配信して視聴率を上げる取組等を手掛けた。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

TVドラマ再考(上) “秋クールは好調”というけれど・・・


GP帯で放送されている民放ドラマ14本中12本が視聴率二桁スタートとなった秋クール。好調の評判が高いが、俯瞰してみると手放しでは喜べない現実が見える。右肩下がりのトレンドを正しく認識し、事態を改善するための次の一手を冷静に考えるべきだろう。

多彩なドラマが並んだ秋クール

   多彩なドラマが並んだ秋クール

スタートは好調!?

2015年秋ドラマが先週ですべて出そろった。各ドラマの初回視聴率では、『相棒season14』が18.4%でトップ。2位『下町ロケット』が16.1%と肉薄していた。しかも2回目は『下町~』が17.8%と率を上げ、『相棒14』を0.2㌽逆転するデッドヒートを展開している。1話につき1億円前後を投じているとの噂もある『下町~』については、TBSテレビ武田社長も定例記者会見で「文字通りロケットスタート」「半沢を超えて欲しい」と喜びと期待を隠さない。

GP帯で放送している他の民放ドラマも、全14本中12本の視聴率が二桁を取り、活字メディアの中では「秋ドラマまずまずのスタート!」「10月期ドラマ好発進」「粒ぞろい 見応えあり」などの記事が目立った。大方の見方は、「スタート好調」となっている。

別視点で印象は変わる!スライド1

しかしこんな見方も出来る。図1のように、他の時期と比較できるドラマ枠に限って初回視聴率を比べると、確かに秋ドラマは夏ドラマと比べ1枠が下がったものの7枠は上り、絶好調に見える。しかし今年の春ドラマと比べると、1枠下がり3枠上がっただけで、大躍進というほど好調ではない。人は直近の印象でものを見がちだ。“好調”という評価も、夏ドラマが不調だったがゆえの可能性がある。スライド2

事実、過去5年の秋ドラマの初回視聴率を並べると、全く異なる風景が見えてくる。5年間で上下激しく動いた枠もあるが、11年秋と比べると、15年秋は1枠上がっただけで、2枠が横ばい、7枠が下がっている。しかも横ばいのうちの1枠、13年秋や14年秋と比べると大きく下がっている。つまり秋ドラマの初回としては、今期ドラマは好調どころか、下降傾向の中にあるという見方も出来るのである。

地上波テレビはジリ貧

そもそも地上波テレビ視聴率は、HUT(総視聴率)も各チャンネルの視聴率も近年下降傾向にある。HUTは90年代には70%あった。しかし過去15年で約1割を失い、14年度は63%しかなかった。さらにNHKと民放キー5局の主なチャンネルの合計視聴率は、もっと厳しい状況にある。“その他視聴率”と呼ばれるBS・CS・CATVなどの数字が上がってきたためで、68%ほどあったものが今や55~56%に落ちてしまっている。15年間で15%ほどパイを失った格好である。スライド3

原因は録画再生視聴が増え、リアルタイムに番組を見る人が減っているからだ。さらにインターネットの普及、特にスマホの利用者が増え、テレビ視聴時間は確実にスマホに侵食されている。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が毎年実施している「メディア定点調査」によれば、2010年との比較では2015年、国民一人あたりのテレビ接触時間は20分減った。いっぽうスマホやタブレットの接触時間は合計で76分も増えている。パソコンも含むインターネット端末全体の接触時間では、既にテレビより多くなっているのである。

録画再生視聴の影響については、NHK放送文化研究所が5年に1度実施している「日本人とテレビ」にも実態がよく表れている。1985年に始まった同調査の2015年版が7回目だ。テレビの録画再生やDVD再生を含まない放送のリアルタイム視聴(平日)は、前回までの過去6回ですべて増加していたが、直近5年で初めて減少に転じたのである。最大の原因はデジタル録画機(DVR)の利用拡大にある。DVRの世帯普及率は既に8割ほどに達しているが、日常的に利用する人も5年前より7㌽増え56%に達していたのである。しかも10代後半から50代までで、男女とも7割前後を占めるまでに至っている。

タイムシフト時代のドラマ

録画再生が最も頻繁に行われる番組ジャンルはドラマだ。最新の情報を求めるニュース、暇つぶしや慰安を求めて見られるバラエティと異なり、物語をじっくり味わいたいドラマは、家族に邪魔されず落ち着いて集中できる時間に見たいから、録画再生されることが多い。

スライド4 こうした事情もあり、ドラマの視聴率は過去20年ほど大きく下がっている。例えばトレンディドラマ全盛だった1997年、GP帯で放送されるドラマのうち、視聴率が15%を超えるものは年間で32本もあった。ところが2002年は13本減り19本、2007年12本、2012年7本、そして今年は冬~夏までの3クールで15%越えは皆無となっている。秋クール序盤を見る限り、15%越えが今年は1~2本に留まる可能性が高い。

 

 

如何だろうか。確実にTVドラマの視聴率は右肩下がりのトレンドにある。ゆえに前クールとの比較で一喜一憂しても、大きな流れを変えることにはつながらない。では、どうしたら良いのか。そもそも視聴率とは、CM取引のための一つの指標に過ぎない。この指標だけで、論理・情緒・価値観などが入り組む人間の物語を評価するには無理がある。ましてや指標に合せてドラマの作り方を変えてしまう姿勢は、必ずしも幸福な営みとは言えない。やはり、この状況で出来る努力を追求するしかないだろう。では具体的な方策を、シリーズ次回に考察して見たい。

“モニカとテッド”2つの教訓~再チャレンジ社会アメリカの実力~


TEDで「恥辱の代償」をプレゼンするモニカ・ルインスキー

TEDで「恥辱の代償」をプレゼンするモニカ・ルインスキー

先月下旬に放送されたNHKEテレの「スーパープレゼンテーション」。登場したのはモニカ・ルインスキー(Monica Lewinsky)。ホワイトハウスの実習生だった彼女は、ビル・クリントン(William Jefferson “Bill” Clinton)元大統領との不倫スキャンダルが1998年に発覚し、弱冠22歳にして世界中のマスコミの標的となった。

番組は米国で開催されるTEDカンファレンスを日本語字幕付きで紹介するもの。TEDとは、Technology Entertainment Designの頭文字。多様な分野の有名人による講演が毎週紹介されている。

 

2015年の“モニカとテッド”

当稿の主人公モニカ・ルインスキーは、国のトップとの“不適切な関係”が報じられた以降、就職もできず米国を離れたこともある。そして久しぶりのメディア登場の場としてTEDを選んだ。当時の心境と自ら経験した“ネットいじめ”の危うさを語ったプレゼンのタイトルは、「The price of shame 恥辱の代償」だった。

まず序盤はジョーク交じり。例えば10年ぶりに公の場に立ったのは20代むけの講演会だったが、1500人の聴衆の年齢は98年当時4歳から14歳。「私のこと ラップで知った人いるかも(彼女はかつて40曲ほどのラップの歌詞のネタになっていた)」の発言には、聴衆から失笑がこぼれた。その講演会の日、27歳男性が41歳の彼女を口説いて曰く、「もう一度22歳の気分にしてあげるよ」。嬉しかったが、モニカは断ったという。「40代で22歳に戻りたくない人は、私ぐらいでしょう」。これで大爆笑、会場の雰囲気は一気に和らいだ。

しかしそこからの発言はきわめて重かった。スキャンダルの前まで、ニュースの手段は3つしかなかった。活字メディアを読む・ラジオを聴く・テレビを見る。しかし98年には既にインターネットが普及し、人々は欲しい情報をいつでも・どこでも入手できる時代になっていた。これがモニカにとって致命傷だった。

“恥辱”は98年1月にネットから始まる。「情報源としてネットが従来のマスコミを超えた最初のケース」だ。「世界中でクリック音が鳴った」「まったく無名の一般人だった私が、一夜にして全世界の晒し者になった」と彼女は振り返る。「世界規模で信用をなくした“ネット晒し”の被害者第1号」だったというのである。

両親は彼女が自殺するのではと細心の注意を払って、いつも彼女に寄り添った。シャワーを浴びる際にも、ドアを開けっ放しにさせたそうだ。長く世間の目から逃れる必要があった。英国留学がしばらく続いた。

ところがモニカは帰ってきた。ターニングポイントはSNSが既に普及した2010年。18歳の大学生が寮で盗撮され、その映像がネットに晒されたことを苦に自殺した事件が契機だった。彼女は自らの“恥辱”経験について、確度を変えて見直すようになった。その結果、“ネットいじめ”について見えてきたことがあった。

もちろんネットには、多くの利点がある。「家族の再会、人命の救助、革命が起こったりもした」「一方で“ネットいじめ”が爆発的に増えた」「特に傷つきやすい若い子たちが被害にあっている」「生きていくことがつらくなって、自殺する人もいる」「恥辱というのは喜びや怒りより強烈な感情」とネットの負の側面を告発する。

 

そして圧巻は、恥辱の文化という分析だ。「ネットでの辱めは広がって行くし、永遠に残る」「何百万もの人が匿名で罵詈雑言の浴びせる」。かくしてネットに限らず現実世界でも恥辱が助長されるようになった。「ゴシップサイトやパパラッチ、政治・マスコミまでが恥を取り扱う」「抵抗を感じなくなってきたから、荒らし、プライバシー侵害、ネットいじめが起こる」「こうして“恥辱の文化”ができてしまった」。

しかも「恥辱に値段がついている」「他人のプライバシーを、まるで資源みたいに採掘して、売って、利益を得る」「激しい恥辱ほどクリックされ、広告収入アップ」「恥が産業化してしまった」。ネットの増幅機能が、負の拡大再生産をして止まらない危険を訴えたのである。

公の場に出るようになって、モニカが最も受けた質問は「なぜ、今になって話すのか?」だった。まっすぐ前を向いて彼女は答える。「時が来た」「自分の過去と向き合って、人生を再スタートさせる時が来た」。

「私たちは今、恥辱の文化を改めるべき」「私たちがすべきこと、それは思いやりと共感を取り戻すこと」と、肩書が社会活動家となった彼女は続ける。学者の言葉を引きながら、「少数派でも一貫して主張し続けることで変化を起こせる」「私たちはよく表現の自由について語るが、それに伴う責任についても語るべき」「みんな自己主張したい。けどきちんと発言するのと、目立とうとして発言するのは違う」。

プレゼンのエンディング。テレビは固唾をのんでモニカの話に聞き入る聴衆と場の空気を映し出した。そしてかつて恥辱にまみれ、完膚なきまでに打ちのめされた一人の女性が、自らの負の経験をとことん直視することで正に転換し、確かな足取りで再チャレンジし始めていることを魅せていた。最後の挨拶は、全員がスタンディングオベーションとなった。

正直、驚いた。17年前、テレビニュースは毎日モニカを描きながらも、共感なき取材は彼女の内面を全く映していなかった。映像メディアテレビの限界である。ところが同じテレビが、瀬戸際から生還した彼女の言葉と実存を通じて、再チャレンジを評価する米国の可能性を示したからである。

そしてもう一つ、“モニカとテッド”が示したアメリカの実力を、17年前にも筆者は見せつけられていたことを思い出した。98年夏、その時筆者はABC「ナイトライン(Nightline)」の現場にいた。スキャンダル発覚から半年後、「不倫疑惑」の物証となったドレス(大統領の精液が付着したもの)が出て来た瞬間だった。

1998年の“モニカとテッド”

その日筆者は、ABCニュースの好意で番組が放送されるまでの一部始終を見学させてもらっていた。当時の同番組は、一つのテーマを深夜に30分で描く、米国でのラストニュース的な存在だった。NHK「クローズアップ現

スキャンダルについて語るテッド・コッペル(YouTubeから)

スキャンダルについて語るテッド・コッペル(YouTubeから)

代」の原型のような報道番組で、キャスターはテッド・コッペル(Ted Koppel)。硬派なインタビューでは米国随一と言われたジャーナリストである。

朝10時にスタッフが全員集合。予定では暇ネタが用意されていたが、超ド級のネタが飛び込み、テーマは急きょ差し替えとなった。そう、取材の対象モニカと番組を司るテッドが、この日の主人公になったのである。

ちょっと考えた末、筆者は駆け出しのスタッフに張り付くことにした。モンタナ州の大学から来ているインターン生だった。最初のミーティングの後、彼は1月以降のスキャンダルを伝えるニュース映像と、事件を多角的に解説するためのコメントバック映像をアーカイブにこもって集め始めた。

お昼過ぎ、番組ディレクターからVTRのあらすじが届く。これに基づき、インターン生は用意する映像を修正し始めた。そして夕方、今度は比較的しっかりとしたVTRの構成と仮のコメントが届く。またしても彼は、最適な映像を集めにアーカイブに走った。

実はインターン生は、試用期間で才能が認められると、番組内に中継で登場するゲストの人選や出演交渉役として採用される。そして合格点をもらえると、初めてロケを任されたり、スタジオの演出を担当したりする。ところが不適格と見なされると契約終了となり、中央を離れて地方のテレビ局に務める羽目になる。つまり番組作りの各レイヤーで勝ち続けない限り次には上がれず、失敗すると地方で再起を図る道を強いられる。ただし地方で再評価されれば、再びニューヨークなどの大都市で大きな仕事に巡り合うこともある。メディアやジャーナリズムの世界に再チャレンジの仕組みがあり、才能と仕事のミスマッチを最小化しているのだという。日本では大学を出ると直ぐに記者やディレクターになる。ただしミスマッチも散見される。日米のメディアは、仕事のトータルデザインに大きな違いがあることを思い知らされたのである。

大きな違いはもう一つあった。VTRの編集の仕方が全く違うのである。ナイトラインでは、コメントが確定するまで編集は1カットもつながない。放送開始3時間ほど前、ようやくコメントが固まり、編集開始となった。と言っても、まず始まったのはコメント録り。編集室はドアを閉めると完全防音。部屋天井の真ん中からマイクが下りてくる。リポーターがまずナレーションを音声トラックに入れる所から始まった。次に編集マンはインタビューや効果音楽などをつなぐ。そして映像は、音声トラックにあわせて最後にはめ込んで行った。この間、約10分のVTRの編集作業は2時間未満、恐ろしく早い作業だった。

実は日本のテレビ局では、映像を先につないで後で音を入れて行く。音入れをMA(multi audio)と和製英語で読んでいるが、古くは「F-V」と呼んでいた局もあるが、これはフィルムで撮影したものをVTRにし音入れするからだ。つまりフィルム時代は映像の編集が先で、その後に音声を調整した。日本ではこの習慣が、そのままVTR時代にも踏襲されたのである。

ところが米国のニュースや報道番組では、VTR導入の際にどの作業手順が最も合理的かを議論したそうだ。その結果、音優先の考え方が登場し、ニュースや報道番組では音を先に編集する方式になった。映っているものをどう解釈するかで方針が変わり得る日本と、事実をどう認識したのか取材者の責任が重い米国。そしてVTR制作のプロセスも結果としての出来も、テンポに大きな差のある日本と米国。その差の大きさに圧倒された1日だったのである。

 

“再チャレンジ”の前提は試行錯誤!

80年前後のフィルムからVTRへという変革に続き、放送からインターネットへのイノベーションが15年ほど後に訪れた。全ての変化にはプラスとマイナスが伴うが、変化の振幅の小さい日本と、思いっきり大きい米国との差を、17年の時を隔てて筆者は再認識した。単純に良し悪しを比較できるものではないが、少なくともどれだけ深く状況に向き合い、次の一手を真剣に考えたのか。その違いを軽く見てはいけないと、二つの“モニカとテッド”は筆者に問いかけているような気がする。

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